第15話 地竜→男はみんな死にくされ
グゥルルガアアアアアアアア!
『ほほほ、我の姿におののいて一人泣いておるな』
「クランさん! クエスト達成したことだし走って逃げましょうよ」
「お前、泣いてるってバカにされてるぞ」
「え、俺ですか? 涙も出ますよ! だって怖いじゃないですか。というよりクランさん。やっぱりモンスターと会話できるんですね!」
「ああ。俺の固有スキル『異種族間対話能力』だ。でも、ドラゴンに帰って下さいなんて言っても、聞かないだろうな」
羽は退化し、小さく肩に留まる程度。空を飛ぶことはあっても、低空飛行。その代わり、地上で暮らすドラゴンの中では最強の種だ。
ぱっと見ると亀とよく似ている。背中は鎧のごとく、とげのあるうろこに、おおわれている。ステータスを見なくてもその巨体で、強さが分かる。
でも、
「またクランさん。スマホいじり」
「その例え、ほんとにほめてんのか?」
【種 族】
【性 別】 メス
【レベル】 888
【攻撃力】 1800
【体 力】 1000
【防御力】 1900
【魔 力】 1600
【速 さ】 500
「防御力が2000に迫る感じか。はっきり言って、どんな攻撃も通らないな」
「え、そんなにやばい感じですかクランさん」
俺はカード化したステータスを見せてやる。
「うわー。無理ゲーですね」
「無理とは限らない。裏ステ♪ 裏ステ♪」
ペラリ。
裏ステータス
【魔 法】 なし
【特 技】
【弱 点】 甘い言葉
深層心理……男はどいつもこいつもクズ。
願望……幸せな家庭を築きたい。
過去……いつまでさかのぼりますか? 年数を選択して下さい。
「じゃあ、過去、一か月ほど」
過去……この一か月で失恋すること二回。卵を雄のドラゴンに食われたことにより、
グルガアアアアアアアアア!
『男はみんな死に腐れ』
「クランさん! 足元!」
俺はひょいとジャンプでかわす。さっき立っていた場所の土は見事に裂けている。
「うーん。甘い言葉攻撃いきますか」
「へ? クランさん?」
俺は
「俺が抱いてやろうか?」
「は? クランさん、ふざけてますよね!!! こんなときに!」
グルガアアアアアアアアア!
『小僧が、何をぬかす!』
よけるのは簡単だけど、これじゃどんどん足場がなくなっていく。さっきより大きく裂けた。落ちたら死ぬぐらい深いな。
「少なくとも、雄のドラゴンより優しくしてやれるぞ」
グルル?
『なに? こやつ、我のなにを知っているのだ』
「俺は種族問わず女を愛してやれる」
コウタが、じと目で俺を見てくる。でも気にしない。
「お前のその真っ赤な瞳……」
俺は息を飲んだようにして告げる。
「素敵だ」
グル!!!
『ほんと?』
グルルルルガ?
『私ってきれい?』
「ああ、もちろんきれいだ! どのドラゴンよりも美しいぞ!」
ググルフグフフ。
『そ、そんなこと人間に言われたのはじめて』
「じゃ、俺たちクエスト達成した帰りだから、見逃してくれよな」
グガア!
「クランさん! やっぱり怒ってるんじゃ?」
「いや、待ってってさ。何だ
「クランさんって、ちょっと女の口説き方……くさいところありますよね」
「何か言ったか?」
「いえ、何でもないですよ」
グルルルフフ?
『抱きしめてくれる?』
「ああ、俺の胸に飛び込んでこい」
グガアアアアアアア!
『うれしいいいいいい!』
突進。それはさすがに……よせええええええええ! ぐはっ! これが愛の力……がふっ。
その日、俺は
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