第5話 ランドルフ

「また、さっきの占い師の野郎か」


「あいにく、占い師はしてないな。でも、俺の言葉に耳を貸した方が、かしこいかもしれないぞ」


コカトリスギルドにでも行きな。あっちは野蛮人がいっぱいだ。強い奴ならすぐ見つかるだろうよ」


 北のコカトリスギルド。あのギルドに所属しているだけでも、ほかのギルドの連中にバカにされるのか。


 俺の幼馴染のステフは、毎日あそこに働きに行ってるんだぞ。あそこしか居場所がないんだぞ。


「あとであっちにも行くけど。あそこをバカにするな。あそこでしか働けない奴もいるんだ。いいか。明日また来る。そのときまでに、返事を聞かせてくれよ」


「どういうつもりで生意気な口で言ってるんだ? お前は雇ってもらう立場だろうが」


「お前ってさー」ニヤニヤが止まらない。


「な、なんだよ。気持ち悪いな」


「誰のことが好きなの?」


「っは? ど、どういう意味だそりゃ」


 お、いいね、びっくりさせてやろう。驚愕値きょうがくちが跳ね上がるぞ。


「ドリアンのこと好きなんだろ」


「は! なぜ? そのことをおおおおおおおおおおお! しーーーーっ!」


「しーって? 俺はお前がそういうやつだったなんて、なにも知らない。今はな。でも、もしかしたら、お前が条件を飲まなかったら、明日には町中に言いふらそうかな」


 筋肉マッチョの大男が身体をちぢめて俺に、ひら謝りする。


「わ、分かった。まだ告白してないんだ。告白するまでは黙ってて! お願い。い、いや、告白してたとしても、誰にも絶対言わないでくれ!」


「話の分かる奴で良かった。そういう奴、好きだよ俺」


 やっと仲良くなれそうだなと思って大きな肩をぽんと叩いてやる。あんまりやると俺もれられたら困るから、手はすぐに引っ込めた。


「どんな奴が欲しいんだ」


「そうだな。クエスト見て決めるわ。って今何がある? 一番金になるやつがいい。あとコカトリスギルドからも一人連れてくるから。そいつにも同額の報酬を支払うこと」


コカトリスギルドから!? それは契約違反だ!」


「あっちをやめさせてくるから。ホワイト竜神ドラゴンギルドに新規加入ってことで」


 これで、ステフも加入できたらあいつのふところも、温っまるだろうな。


「どうせ人じゃないんだろ!」


 なんだよ、その言い方。


「人外だからって差別すんな! 魔物みたいだからか? 魔物といっしょにすんな。魔物が怖いからだろ。俺が全部ぶっ殺してきてやる」


 そのとき、いいプランが浮かんだ。なんで今まで考えなかったんだろうな。魔物が怖いから人外が差別される。


 なら、魔物やモンスター、さらに言えば魔王を殺せばいいじゃないか。


 クエストを受けるのはレベルを上げて、スキルを覚醒させて女湯が見たかったからだけど。


 魔王を倒せば、世界平和が訪れる。




 温泉街が盛り上がる。

 女湯の客も増える。

 女湯で女がリラックスする! 




 女湯がフィーバーする! 万歳! 女湯! ありがとう裸の天使たち!

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