学校に遅刻しそうになったら宇宙人のサンプルに付き合わされた私の話をしようと思う
ラズベリーパイ
第1話
走る、という行為を一体なぜする必要があるのか?
競技であったりダイエットであったり、その理由は人間の場合、様々だと思う。
ちなみに私は現在、【先ほどまでは】学校に遅刻しそうになって走っていた。
家から徒歩15分程度の道のりに学校があるのは、ネットなどで見る通学に一時間、二時間かかる物に比べればよほど少ない。
一時間の物と比較すれば、四分の一程度。
これほどに少ない時間で済むのに、遅刻しかけてしまうのは、これくらいの時間までなら行ける! というぎりぎりを目指す【睡眠】というある意味人間生活に欠かせない物をどれだけできるのかというスポーツによるものだ。
暖かい布団にくるまってぬくぬくとしながら、特に今の時期は冬で寒いのでその温かい楽園から去りたいと思う人間はいないのは当然だろう。
しかしうるさくなる昨日の私の置き土産である目覚まし時計が鳴り響いて、諦めの気持ちを持ちながらあと五分と呟いてから二度寝して起きる。
すでに時刻は遅刻ギリギリ。
慌てて着替えて、大昔の漫画の様に食パンを加えるのではなく、スーパーの安売りで手に入れた菓子パンを片手にアスファルトで舗装された地面を走る。
周りには家やマンションが立ち並んでいる。
駅に向かうらしき通勤のおじさんも見かけた。
ごく普通の当たり前の通勤風景。
ここの所花粉光環が出てきているせいか、マスクをしている人もそこそこ多い。
太陽には花粉と呼ばれる、花粉によってできる虹色の円が見えるくらい花粉が多いのだから当然だろう。
かくいう私も少し花粉症がきつくなってきている気がする。
去年よりも何倍と表示されている花粉量のニュースを聞くたびに来年はどうなるんだろうと不安を覚えたものだ。
そうは知りながら私は現在、先ほどまでの平穏を懐かしみながら悲鳴を上げていた。
「なんで、何で私の後ろに、こんな住宅街に、大きな岩がぁああああああ」
そう悲鳴を上げた。
ちなみに今は二回目である。
普通に住宅街の学校への道を走っていき、気づけば周りにはひとっお一人いなくなり、周りには朝食を作る喧噪も全て消え失せていた。
鳥などもいない。
不気味な空間になっていたのに私が気付かなかったのは、それだけ私が遅刻しそうで急いでいたから変化に気づかなかったのだ。
やがてガラガラと大きな音がして、何事かと振り返ると大きな岩の塊、それも道を塞ぐどころかそれよりも大きくて周りの家々を踏みつぶしながら、私の方に向かってくる。
何故、どうして。
そんな感情が浮かぶとともにすぐに私は走り出した。
何かホラー系の物語の展開に巻き込まれているのだろうか?
もしそうならば、立ち位置よって変わってくる。
つまり、主人公かモブか。
モブだったら死ぬかもしれない。
「し、死んでたまるか~」
そう叫んで、VR系のゲームではないという事を過去のじぶんの行動から瞬時に確認して私は逃げた。
生命の危機だから当然だ。
そして無事学校までたどり着くと、岩が消えた。
一体何なんだろうと、幻覚? と思っていると、学校の入り口付近に見慣れない生徒が一人いて、私に微笑みかけて話しかけてくる。
「こんにちは初めまして。私は貴方方の言葉でいう、宇宙人です。貴方には人類の進化の可能性を探るためのサンプルに選ばれました。これからよろしくお願いします。私のこちらでのコードネームは、サクラです。よろしく」
そう言ってきたのだった。
学校に遅刻しそうになったら宇宙人のサンプルに付き合わされた私の話をしようと思う ラズベリーパイ @Al2O3
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます