王国に結界を張ります

その日から私は王宮で働き始めました。


まずは私は王国全体にいきわたる結界を作ったのです。無色透明な光の壁が王国全体を優しく包み込むように張り巡らされます。


「おお……セシリア様、これは一体」


 国王陛下は大層驚いていました。


「結界です。見た事がありませんか?」


「あ、ありません。我が国にはこんな大規模な結界を張り巡らせる人物など一人もいませんでした」


「そうですか。その通りですね。もしそんな人物が一人でもいたのならこの国はこうまで悲惨な状況にはなっていないでしょう」


 私は語り掛けます。


「これでもうこの国は外敵から襲われる心配もありません。空を見てください」


「ん? あれは」


 ギャア! ギャア!


 という騒々しい声が聞こえてきます。数匹の大鷲でした。


「あ、あれは大鷲じゃないかっ! 人々を襲ったり、農作物を食べたりあいつらには本当苦労させられたんだ! し、しかしあの結界に阻まれ我が国に入ってくる事もできないではないか!」


 国王の言う通り、大鷲は結界に阻まれ、そこから一歩たりとも踏み入る事ができませんでした。


「このような効果が結界にはあります。ただそれも普通の聖女の場合。私の結界はそれだけではありません」


「な、なんですと! 大聖女セシリア様の結界の効果はそれだけではないのですか!」


「はい。普通の聖女の結界は微細な病原菌を素通りしてしまいます。しかし私の張った結界はそれすら滅してしまうのです。ですからこの国が新たな病魔に苦しむ心配はないでしょう」


「なんと! それは素晴らしい事ですっ! なんというお力でしょうか! これで我が国トリスタンは救われます! ありがとうございます! 大聖女セシリア様」


「まだ、自体は完全に解決されたわけではありません。病気で苦しんでいる人々を集めて並ばせてください。私の治癒魔法で癒してみせましょう」


「わ、わかりました! すぐさま国民にお触れを出します! 少々お待ちください!」


 国王はそう言って動き始めました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る