会社帰りに絡まれていた可愛い女子高生を助けたら

闇野ゆかい

第1話会社帰りにコンビニの前で怯えた女子高生を助けた

俺、西條海音さいじょうかいとは仕事を終え、帰宅途中だった。

コンビニが見えてきて、弁当を買うため寄ることにした。

コンビニの前でブレザーを羽織っている男子高校生三人が誰かを囲んでいた。

何人か近くを通っていく通行人がいるが、関わろうとする物好きはおらず助けに入ることなく、彼らを避けて立ち去っていく。

俺は、彼らに近付き、声をかける。

「おい、男子高校生がきども。こんな時間にコンビニの前で女子に絡んでないで、帰ってゲームで遊んでろよ。嫌がってんだろ、彼女」

「なんだよ、おっさん。あんたに関係ないだろ、鬱陶しいんだよ」

一人が近付いてきて、殴りかかってきた。

躊躇ないな、男子高校生がきは。

俺は、難なくかわして、低い声でびびらすように軽く脅した。

「彼女はなんだよ、そろそろ引き下がってくれない。じゃないと学校にお前らが、女子高生に絡んで手をあげてたって連絡するけど。いいのか?」

俺の脅しに彼らは、何も言わず走り去っていく。

逃げ足が早いな、あいつ等。

「もう大丈夫だから。早く帰りな、きみ」

身体が震えている彼女に、優しく声をかけて、帰宅を促した。

「あっありが、とうございます」

彼女は、ゆっくり頭をさげ、小さく感謝の言葉を口にした。

「いいよ。頭あげて、何か飲む......えっとぉ」

金瀬陽菜かなせはるなです。助けてくださりありがとうございます。男性がとても、怖、くて......どうすること、もでき、なくて。まで助けてくれて、本当に、ありがとうございます......お兄さん」

先ほどよりも多少声が大きいがまだ小さく聞こえる。

「身体が震えてて、怯えてたから。心配になって......お茶でいいかな?」

後頭部を掻きながら、こたえた。

「大丈夫っでぇすから、助けてもらった上にそんな......」

大きく身体の前で手を振り、断る彼女。

「遠慮なんてしなくていいよ。すぐ買ってくるから、ここで待ってて」

俺は、コンビニに入り唐揚げ弁当とほうじ茶のペットボトルを買って、彼女に駆け寄る。

「はい、どうぞ。俺は、これで」

俺は、ペットボトルを渡して、歩き出そうとした瞬間、スーツの袖を摘ままれる。

「あ、あのっ......その、泊めてください......」

「家に帰れないこととか、あるの?」

彼女は、俯いて戸惑いながら短く返した。

「はい、ちょっと......無理、ですか?」

「困ってる人を見捨てられない......けど。でもなぁ、その......」

「一晩だけでいいので、泊めてくれませんか?お願いします、お兄さん」

渋る俺に手を合わせ懇願する彼女。

「それなら......じゃあ、ついてきて」

「ああっありがとう、ございます。お兄さん」

俺達は、歩きだし並んで帰宅した。




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