第394話 木の幹のほくろ

木の幹にほくろがある。

数日前にそう思った私は、どうしてただの点でしかないそれがほくろだとわかったんだろう。


ああ。

ここで首を吊った兄に泣きぼくろがあったから?


そう思い至ったと同時に、木のほくろの下に兄の顔が浮かび上がる。

久しぶりに見た兄は嬉しそうに笑っていた。

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