第197話 赤いシャーペン
友人には近頃不思議に思うことがあるらしい。
「いつも使ってるシャーペンなんだけどさ、最近たまに書いた文字が赤く見えるんだよ」
俺は笑って受け流したが――本当は怖くて言えないだけだった。
その赤さは友人がどこか怪我をするたび濃くなっている。
そんなこと、本人に言えるはずがない。
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