第196話 バケツに捕まえられる

いつの間にか軒先に水の溜まったバケツが置いてあった。

昔バケツの水に映った月を捕まえたと表現する歌があったな、と思い出しながら覗いてみる。


月の代わりに私の頭が映っていた。

体はない。


何故、と思う前に頭は『捕まえ』られ、私はぼうと佇む首無しの胴体をバケツの中から見上げていた。

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