第107話 大好きな歩道橋

歩道橋の仄かな揺れに身を任せるのが好きだ。

橋や渡り廊下も好きだが、特にここがお気に入りだった。――のだが。

首のない真っ黒な影が現れてから、私はそこに近寄れなくなった。


…たまに怖がられるけど、飛び降りたこの歩道橋が第二の故郷だったのに!


幽霊の縄張り争いは存外熾烈である。

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