第106話 煙突の祖父
祖父が大往生した。
彼の若い頃の生業は銭湯の煙突掃除。
危険だが天辺から街をどこまでも見渡せるのが好きだと聞く度羨ましかった。
そんな祖父は久々に煙突から景色を眺めているようで、天辺に見覚えのある人影が見え――次の瞬間には消えていた。
私はあと何度、祖父を羨ましく思えるだろうか。
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