第75話 異世界の向日葵

蝉の声。

青空に、くっきりとした山の影。


目前に広がる向日葵畑に私は愕然としていた。

さっきまで、そう、ついさっきまで冬だったはず。


変な世界に迷い込んだのでは?


否、きっと記憶障害だ。

本来なら不幸であるはずのものに希望を抱きながら花を見ると、種の代わりに歯が敷き詰められていた。

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