『おばけのとも』
やましん(テンパー)
『おばけのとも』
むかしから、中高生や、初心者や、独学者には、さまざまな参考書が提供されてきました。
『なんだかすごくわかる数学』
『読まなくてわかる英語。』
『いやでもバンバンわかる物理』
『わからないはずのない経済学』
という、ような具合。
しかし、ぼくは、残念ながら、分かったためしがないのですが。
なぜだろうか。
ばかだから。
そう言われると、もう、先がないです。
でも、なんと、幽霊の初心者にも、参考書があるのだそうであります。
上司の復讐が、空振りになってしまい、ちっとも悟れないため、天国からも、地獄からもオファーが来ないから、この際、勉強するようにアドバイスされたのです。
アドバイスしてくれたのは、同じ立場の幽霊さんたちです。
なんでも、学習塾もあるのだとか。
しかしながら、授業料が結構高いのです。
だいたいは、無事、天国か、地獄に入れたら、働いて返すのだそうです。
年に2回、天国地獄編入試験があります。
学習塾に通ってると、試験対策もできるから、確かに強いらしい。
しかし、聞くところによると、授業料を返すのは、大変なんだそうで、優秀な幽霊さんでも、1000年くらいは、かかるのだとか。
そもそも、天国も地獄も、現世でそれなりの地位にあったとか、有名な人だったとか、なにかないと、今は、入れたくないらしいです。
だから、出世しなかったサラリマンとかも、特に、現世に滞留しやすいらしいです。
最近は、幽霊界でも、社会的格差が拡がるばかりで、他界した政治家さまも、たくさん、いろ良い話しはなさるが、現実はひたすら厳しくなる一方で、天国地獄に入れるのは、ごく一部のエリートだけらしいのです。
幽霊といっても、一種のエネルギーですから、現世にいると次第に衰えてきます。
まあ、この期に及んで、じたばたしてもしかたないか。
死神ももさんも、不思議が池の幸子さんも、昨今の情勢では、活動停止状態らしいです。
とくに、女王さまとは、女王さまの地獄行きの約束をしていただけに、冥界の混乱は残念です。
なんでも、私立の地獄などは、まだ、十分余力があるのに、天国地獄政府の規制がきつくなったのですが、それは、現世で幅を利かせていた大物たちが、自分たちの利権を失いたくないため、そうした画策しているんだとか。
そこで、幸子さんが、参考書をくれました。
『おばけのとも』全30巻です。
すべて、マスターしたら、試験など軽くパスよ、と、おっしゃいます。
しかし、幸子さんは、試験など受けたことはないのですが。
古きよき時代だったのです。
しばらくしたら、女王ヘレナさんが、手を打ってくれるからと、いうのですが、さて、どんなものやら。
幽霊になっても、疑心暗鬼なのであります。
そりゃあ、ますます、呪いたくもなりますな。
新しい対象に変えなくちゃ。
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『おばけのとも』 やましん(テンパー) @yamashin-2
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