裁判官のアップデート
矮凹七五
第1話 判決と人々の怒り
「判決! 被告人を無期懲役に処す」
低音成分豊かな大きな声が法廷に響き渡った。裁判官の
「何だ!? この判決は」
「刑が軽くないか?」
裁判に出席している人々の口から、次々と驚きの声が上がる。その多くは判決に対する不満のようだ。
被告の罪状は強姦殺人と死体遺棄。何の落ち度もない二人の児童を強姦しては殺害し、死体を遺棄した。その残酷な犯行に多くの国民が怒りを覚えた。
多くの人が死刑を予想していたにもかかわらず、犯人に対する判決は無期懲役だった。罪の無い者が二人も命を落としているにもかかわらず、残酷な殺され方をしたにもかかわらず、犯人は死刑にならなかった。だからか、法廷内の多くの人が失望し、それが音声として現れ、法廷内のざわつきとなったのだ。
「静粛に!」
関根理比太の低いけれども、鋭い声が法廷に響き渡る。すると、先程までのざわつきがなくなり、法廷は静かになった。
「本日は、これで閉廷します」
多くの人々が判決内容に不満を抱く中、関根理比太は法廷を閉じた。
「関根理比太はクソ」
「関根理比太タヒね」
「被害者の命、どれだけ軽いんだよ!」
インターネット上の掲示板やSNSには、先日の裁判に対する不満と裁判官に対する誹謗中傷が次々と書き込まれている。
画像の貼り付けが可能なSNSでは、ある画像があちこちに拡散されている。
その画像は、全裸になった一人の男が、同じく全裸の筋肉質な男に背後から犯されているというものだ。
犯す方の魔羅が、犯される方の尻に深々と突き刺さっているからなのか、局部が尻に隠れており、その部分にはモザイクが掛かっていない。
犯されている男の顔は――輪郭は四角、髪はもじゃもじゃ、目はぎょろり、鼻は団子鼻、頬はふっくら――関根理比太裁判官そのものだ。
しかし、体つきは微妙に違う。関根理比太の体つきは、脂肪分がやや多そうな、もう少しだらしないものだ。この画像の人物の体つきは、本人のものよりも引き締まっている。
この画像はコラージュ――俗に言うクソコラというものだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます