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「どうしたのじゃ?」
突然倒れた兵士の身体をひっくり返す夕顔の目の前にジネーヴラが立っていた。驚き、すっと後ろへとさがる夕顔を黙って見下ろしているジネーヴラ。
「ふへっ!! なんじゃぁ、ぬしは?!」
「私はベルツの狂戦士、ジネーヴラと申します。先程は危ないところをありがとうございます」
ジネーヴラの両の瞼が閉じられたままであることから、夕顔は彼女が盲目である事に気がついた。
「主は、目が見えぬのか?」
「はい、生まれてからこの目に光りが差し込むことはありません」
「ふへっふへっふへっ……しかし、盲目とはいえ、自我を持たされる狂戦士。さぞかし、有能であろうなぁ……」
「……さぁ。私にはなんとも」
ジネーヴラの答えにふへっと笑う夕顔は、これは競争じゃと自分たちがやっている事を教えた。
「なんとも面白そうな事を……では、私は現在二点と言うことですね」
「ぬしが加わるなら……じゃ」
「しても良いのなら……」
「まぁ、我らとしてもベルツと殺り合う理由はない……」
ちょいと待たれよ……夕顔はそう言うと、無線で朝顔達とやり取りを始めた。しかし、それでもジネーヴラへの意識は外さない。
「ふふふ……油断のないお方ですわ」
「じゃろじゃろ? そうじゃろ? 僅かな鎧の隙間に遠くから毒針を正確に打ち込むぬしじゃ。そうそう、油断しとったら……のぅ。」
にたりと笑い合う二人。気の弱い者なら見るだけで卒倒しそうな笑顔である。
「それで、
「良いとの事じゃ……我は四点、ぬしは二点。我のリードじゃな……それでは、また……」
ふへっふへっふへっ下品な笑いを残し姿を消した夕顔。常人には消えたかの様に見えたその姿を目で追っているジネーヴラは、ふふふっと一人、笑うと夕顔と別方向へと走っていった。
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