第30話 ダークエルフの少女
***
「ど、どなたか助けを……」
弱々しく消え入りそうな声で助けを求めながら入ってきた人物を見て、アルフィリースは目を疑った。
「(ダークエルフ?)」
エルフというのは森の民の別称で、人間より精霊に近い種族とされている。人間に比して長命な者が多く、非常に気性の穏やかな種族(感情に乏しいという説もある)だとみなされている。また魔術に特に秀で、魔術に関してはエルフが人間に教えたとの説もあるくらいだった。
彼らは自然が豊富なところに住居を構え、主に大陸北部の森林地帯に住んでいる。外見としては尖った長い耳が特徴的であり、白い肌を持つエルフは人間に協力的だが、褐色の肌を持つダークエルフは魔王に協力した種族として、人間だけでなくエルフとも敵対関係にあるとされる。人間に協力的なエルフでさえ都市部では滅多に見かけないのに、ましてダークエルフが都市にくれば真っ先に殺されかねない。
そのダークエルフが今目の前にいるのだが、噂ほどの邪悪な気配は感じなかった。見た目は可憐な少女そのもので、むしろ気品さえ窺える佇まいである。それよりも重要なのは少女が血まみれで、瀕死ではなかろうかと思われることだ。はっと気付けば、そのエルフがぐらりと揺れて倒れかかるところだった。アルフィリースは反射的に少女の元に走り、体を抱きとめていた。
「誰か、手当を!」
「アルフィ、どいて!」
ミランダがすぐさま駆けつけてくる。が、少女の怪我はかなり深く、腹からは血がとめどなく溢れてきていた。傷口を押さえる手にも既に力が余り入っておらず、褐色の肌にもかかわらず全身が真っ青になってきているのが如実にわかる。
「内臓がやられて時間が経ちすぎている……アタシじゃもう、どうしようもない……」
「そんな?」
ミランダの見たところ、大きな血管がやられているし内臓そのものにも損傷と壊疽があるようだ。薬や施療ででどうにかできる範囲を超えており、むしろよく生きていると思うほどだ。よほど生に執着する理由があったのだろうか。だがどうやっても、ダークエルフの少女は一刻もつかどうかというところだった。
「でも……」
ミランダがミリアザールの方をちらりと見る。大陸一とも言われる彼女の回復魔術なら、あるいは。だがそんなミランダの助けを求める目に、渋い顔をするミリアザール。
「個人的には勧めんな、普通なら死んでおる運命じゃ。助ければ面倒事に巻き込まれるぞ?」
「ここに貴女が居合わせるのは、この子を助けろという運命では?」
ミランダがすがるような目でミリアザールを見る。アルフィリースはなんのことやらわからなくて、口調の変わったミリィにも戸惑い、おろおろしているだけだ。
「ミランダよ、そんな目で見るな。助けてもよいが、後のことは知らんぞ?」
「構いません、お願いします」
ミランダまで口調が変わったことをアルフィリースは疑問に思ったが、今はそれどころではない。
ミリアザールが悠然と歩いてくると、ダークエルフの傷を調べている。
「ふん、ちょっと見せてみろ……ふむ、これなら余裕で大丈夫じゃわい。魔術を使うから下がっておれ、特にミランダはな。ワシの魔術の影響を受けたら、浄化のしすぎでお主から邪気が抜けて面白くないわ」
「冗談言ってる場合ですか!」
「そう急くな。おいダークエルフの娘。シーカーかスコナーかは知らぬが、助けてやるから後で事情を話してもらうぞ?」
「……」
少女はどうやら返事をするのもきついようだが、こくり、となんとか頷いてみせた。
「よし、すぐに楽になるぞ」
ミリアザールが手で印を組むと、瞬間、周囲の空気が静止したような気がした。そのあとに神秘的で、かつ温かな空気が周りを包み込む。そして彼女を中心として、光が流れ込んできたが、その様子は店の外からでも確認できるほどだった。
ミランダとアルベルト以外の人間は知る由もないが、これが『聖女の奇跡』として大陸中に鳴り響いたミリアザールの回復魔術である。通常のシスター・司祭では手に光を集めるのが魔力の収束として限界であるが、彼女の場合自分の全身を覆い尽くす程に光を集めることが可能である。さらに強力な回復魔術を用いる時には、半径二十歩程度を半球状に覆うほど光を集め、詠唱を始めていた。
『地に潜み、風に踊る慈悲深き癒しの精霊よ。汝らの恵みを我に貸し与え、哀れな我らを助け給え。汝が血肉を今精霊の御名のもとに取り戻さん――
魔術名と共に一帯が光に包まれ、あまりの眩しさにその場にいた全員が思わず目を塞ぐ。ややあって、再び全員がゆっくりと目を開いてみると、そこには光の線で半径十歩ほどの魔法陣が地面に描かれており、周囲からは邪なものが抜けきってしまったように空気が澄んでいた。そしてダークエルフの女性は目をぱちくりとさせて、自分に何が起きたのかもよくわからない顔でその場に起き上がっていたのだった。腹をさすってみても、もはや傷跡すら残っていなかったのだから。
「これで生命の心配はいらん。だが一気に完全回復とはいかんから、しばらくその魔法陣からは出るなよ? なに、一刻はその魔法陣の効果は持つ。あとは一晩寝ればすっかり元通りじゃわい」
ふふん、とミリアザールは得意げに笑って見せる。実際には光系統の攻撃魔術の方が得意であり、回復魔術が久しぶりなので内心胸を撫で下ろしていたのは、本人以外知らないことだった。
ダークエルフの女性は驚きながらも、ぺこりと可愛らしいお辞儀をしてみせる。
「では事情を話してもらおうと思うのじゃが、人払いをした方がいいかの?」
「そうですね、できればその方がよいかと思います」
「すまぬが店主、これで店じまいを頼めるか?」
ミリアザールが懐から金貨の袋を出すと、様子を見ていた店長が頷いて見せた。ウルドの方は呆気にとられているが、なかなかどうして店長の方は修羅場に慣れているのか、動じた様子が全くない。ぱんぱんと手を鳴らしながら、客を外に出し始めた。
「そうだな。さすがにこれじゃ仕事どころじゃないだろう、人だかりも店の外にまでできてるしな。そら、おまえら行った行った! 今日はタダにしといてやるよ!」
「店主、恩にきる」
「いいってことよ。ただし、俺も事情は聞かせてもらうぜ? こんな面白そうなことを目にしといて、何も聞くなってのはひでぇ話だ」
「酔狂な奴よ、しょうがあるまい」
飯や酒の途中であった客達は口々に文句を言ったが、ここの店主は腕っ節には自信がある。二、三人ひっ捕まえて放りだすと、全員すごすごと出ていかざるを得なかった。
「これでいいかよ?」
「十分じゃ。アルベルト、防音の魔術を敷いておけ。さ、話してもらおうか、娘」
「はい。申し遅れましたが、私はフェンナ=シュミット=ローゼンワークスと申す者です」
「ローゼンワークスとな」
ミリアザールの顔色が変わる。
「シーカーの王家の血筋の一つではないのか!?」
「はい、私は分家の末席に当たりますが、確かに王家の血に連なる者です。また誤解の無いよう先に述べておきますが、『ダークエルフ』とは肌の色からつけられた、貴方がた人間の呼び名。我々は自分達のことを『
「あ、そうなのね。ごめんなさい」
アルフィリースがきまり悪そうに謝ると、フェンナは軽く一礼して続ける。
「我々の集落は非常に小さなもので、人口も百人程度。北部の大集落とは別に、大陸南方のダルカスの森の奥深くでひっそりと暮らしておりました。ですが先日、人間達の急襲を受けて里は滅んだのです」
「人間の?」
素っ頓狂な声を上げたのはミランダである。
「ダルカスの森に一番近いのはクルムス公国だけどさ、あそこは平和主義の国じゃなかった? 戦争自体もう何十年もやってないはずだよ?」
「私は比較的年若いので、人間の世界について詳しいことはわかりません。急襲してきたのがそのクルムスかどうかも」
「でもさ、ダーク――いや、シーカーなら魔力は人間達の何倍もあるだろ? 弓の技術は達人ばかりだし、こんなこと言ったらなんだけど、人間の傭兵やちょっとした軍隊なんて相手にもならないはず。一体、何人がかりで攻め込んできたのさ?」
「百人もいなかったと思います」
これにはミランダだけではなく、ミリアザールも驚いた。だが他の仲間はまるで状況がわからない。
「ねぇ、そんなにありえないことなの? 数の上では同じくらいだけど」
「アルフィ知らないのかい? エルフの平均魔力は人間の十倍って言われていてさ。王族にもなると百倍はゆうに上回る。だから百人もエルフが集まれば、国同士の戦争の戦局が傾くって言われるほどでね」
「人間より卓越した魔術士ってのは知っていたけど、そこまで凄いの?」
「そうだね。だからエルフって数はとても少ないけど、人里近くでも淘汰されずに存続してるのさ。自分達からは戦争なんてしない温厚な種族だし、エルフを攻めて滅ぼすなんて、メリットもなければ危険が大きすぎる。魔術協会の精鋭を集めたって、そう簡単に対抗できないさ」
「それをたった百人で全滅とはのう。何があった?」
ミリアザールが言葉を継ぎ足した。フェンナは続ける。
「魔術が――魔術がほとんど効かない兵士がいました。それでも私達には武器をとって戦える者もいたのですが、先頭にいたたった四人の人間に三十人余りが一瞬で斬り伏せられました。余りの事態に私は逃げるように父と母に言われ、母の転移魔術で逃げようとしたのですがそこに兵士が斬りこんできて……母は私の目の前で斬り殺されました。私も手傷を負わされ、魔術の起動時間すらほとんどない状態でしたので、転移先の座標も狂い、同族に助けを求めるはずが、この街に飛ばされていたのです」
フェンナの目に涙が浮かぶ。彼女は目の前で母を失ったばかりなのだ。おそらくは一族も、全て。
「お願いします、私を連れてダルカスの森まで戻っていただけませんか? 近くの町まででよいのです。私の里まで同行してくれとはいいません」
フェンナが懇願するようにアルフィリース達を見回した。彼女にしても、他に頼るものが無いのだろう。エルフは基本、森から出ない。まして年若いともなれば、今いるミーシアがどのような場所で、どうやって森に帰るかどうかも分からないに違いない。また、世間的にダークエルフと言われ迫害される者が、人間の世界を一人で彷徨うのも危険極まりない。
そのくらいの事情は全員が瞬時に理解できたことだが、正直フェンナの頼みを引き受けるのは誰が考えても危険が大きい。そのことを承知の上で、ミランダが返答する。
「やっぱり厄介な話になったね。一つ言っておくが、アルネリアとしては事情も分からず肩入れはできない。もし領土争いなら、内政干渉になってしまうからね。助けておいてなんだが、アタシとミリィ、アルベルトは傍観するしかないだろう」
「薄情ね」
「でも正論さ。だけどアルフィは傭兵だ、自由に動ける。手助けできるとしたらアンタだ。アルフィは今の話を聞いて、フェンナをどうしたい?」
ミランダの試すような問いに、アルフィリースは即答した。
「私の意志は決まっているわ。ダルカスの森とやらに送り届ける。目の前で困っている人を見捨てるなんて、とてもできないもの」
「アルフィ、同行者として一言言わせていただきます。このシーカーを保護することはオススメできません、厄介ごとの匂いしかしませんね。それでも送り届けますか?」
「それはセンサーとしての意見?」
「そうでもあり、リサとしての直感でもあります。誰もが同じ意見だと思いますが?」
アルフィリースは周囲を見たが、酒場の店主ですら神妙な表情で成り行きを見守っていた。口にせずとも、リサと同意見であることは明白である。
もう一度フェンナの様子を窺うアルフィリース。助けを求めるような、でも申し訳もたたないような、期待と不安の入り混じった青い目がアルフィリースを見つめていた。
「(……この子を放り出して自分の旅を気楽に続ける? 考えられないけど――私一人の旅じゃないのよね)」
リサのことを思うとやや躊躇われるアルフィリースだった。そこでミリアザールがミランダのことをじっと見つめる。目がミランダに言葉を促していた。そしてミランダもまた、頭を掻きながらついに決断を口にした。
「ええい、わかった! アタシもついて行く! それならちょっとはマシだろ!?」
「え、いいの? アルネリアは手助けできないんじゃないの?」
「アルネリアのアノルンじゃなくて、傭兵ミランダとしてならいいだろ? 良い機会だから言っちまうけど、アタシはこれからもアルフィに同行させてもらうつもりだったんだ。今までみたいにつかずはなれずじゃなく、正式な仲間としてね。今は巡礼の任務も解かれたし、どうにもアンタを放っておけない。アタシの目の届かないところで何かあったら、とてもじゃないが自分を許せそうにないからさ」
「あ、ありがとう……」
「それで構わないね、シスター・ミリィ!?」
「まぁ本来なら頼みたいこともあったが、次の役目が正式決定するまでは好きにするとよかろう。それだけの功績が貴様にはあるし、アルネリアも貴様一人おらぬくらいで揺れるほど脆弱ではない」
安堵のため息を漏らすミランダがいた。そしてリサもそれならばと頷く。
「なるほど。ミランダに来ていただけるなら、多少は安心ですかね。そして一つアルフィに告げておきますが、これは貴女の旅です。アルフィの心のままに動くのが最も後悔が無いと思います。私の言葉はあくまで意見であって、必要以上にお気になさいませんよう。貴女と一緒に危険な目に合うことも、私の決断の内です。そこに責任を取れないほど、幼いつもりはありませんよ?」
ミランダの決断と、少し得意気に伝えたリサの言葉を受けて、アルフィリースもまた決意した。
「フェンナ、貴女を助けるわ。里まで送り届けましょう!」
「! あ、ありがとうございます!」
「でも貴女の一族は――」
アルフィリースが聞きにくいことを口にしようとしたが、フェンナがそれを遮った。
「わかっています。一族の生存を確認しに行くわけではないのです。ただ一族に伝わる秘術の封印を確認しに行くだけです」
「秘術?」
てっきり一族の安否を確認したいとばかり、アルフィリースは思っていたのだが――
「申し訳ないのですが、内容は申し上げることができません。ですが、封印の状況次第で私の今後の行動が変わりますから」
「わかったわ、内容については聞かないことにする。それじゃあこれからよろしくね。私はアルフィリースよ。で、こっちの年長で口が汚いのはミランダで、年少で口が悪いのはリサよ」
「あぁん! 誰の口が汚いって!?」
「全くです、デカ女の分際で生意気な」
二人の口調を聞くに、語るに落ちたとはこのことか。びっくりした後くすりと笑うフェンナに、ミランダが咳払いをして答える。
「でもそこまで行く方法はどうするんだい? 結構遠いし、その辺は地形も結構複雑だよ? ちなみにアタシはその辺にはほとんど行ったことがないんだ」
「誰か案内を頼むのが妥当ですね」
「フェンナは詳しくないの?」
「私は森から一歩も出たことがないので……森をある程度分け入ればわかるのですが」
「私が案内をしよう」
突然の申し出に全員が振り向いた先には、ネコの獣人がいつの間にか立っていた。背はリサよりもやや大きいくらいの小柄な女性の獣人だ。だが気の強そうな顔と、引き締まった体に使い古した防具。どうやら旅慣れも、戦いの経験も十分なことは見た目でわかる。
「私は見ての通りネコ族の獣人の戦士、ニアだ。本来はグルーザルドの軍人だが、現在は武者修行のため諸国を放浪している。私はダルカス周辺を通ったことがあるのだが、案内としてどうかな?」
「案内はありがたいけど、どうしてその気になったの?」
「困ったものを見捨てるのは、グルーザルドの軍人として恥だからな」
ふん! とニアは顔を逸らす。ジョッキの内容を一気に飲み干し恰好をつけたが、後ろでくっくっくっ、と店長が笑っている。
「虚勢張るなよニア。貴女達がなんだか気になるから同行させてくださいって、素直に言っちまえよ。それにその中身、ミルクだったろ? 口の端についてるぞ? 恰好つかないぜ」
「べ、別に私は気になってなど、いない! 恰好をつけてもいない!」
腕を組んでぷいと横を向いてしまったが、耳と尻尾がせわしなく動き始めた。これは――
「わかりやすいね」
「まぁ、照れていらっしゃる?」
「素直じゃないわね」
「なるほどのぅ、これが流行りの……なんと言ったかのぅ?」
ミリアザールの質問にリサが答えた。
「ツンデレというやつですかね。一昔前ですが、どこぞの大衆演劇で流行った演目でしたか。確か『ツンデレ女探偵団』とかいう演目で、それなりの好評を博していましたね」
「ああ、そんなのもありましたね。ミーシアでも何度か演目がありましたか」
「それ、アタシも知ってる。よく知っているわね、リサ」
ウルドとミランダが納得したように手をぽんと叩いたが、リサはあまり得意気ではなかった。
「センサー能力は便利でして、演劇などは遠くにいても目の前で見ているようにわかりますから。暇な時に、ちょくちょく観ていました」
「それ、ずるくないですかい? 俺っちは一緒に見に行った彼女の分までお金払ったのに……」
「悪気はありませんよ。聞いているというより、聞こえてしまうんですから」
ぐったりと項垂れるウルドに、さしものリサも決まりが悪そうに話していた。何のことかわからないアルフィリースやフェンナは、そっと耳打ちして教えてもらっていた。ニアもまた意味がわからないのか、不信感をもった目で首を傾げている。これを見て、リサの目がきらりと光った。
「つんでれ? つんでれとはなんだ??」
「ツンデレとは褒め言葉です。人間の世界では、こう呼ばれることは最高の名誉だと言われています。ちなみに使い方としては、自己紹介の時などに用い『初めまして。ツンデレのニアです』などという挨拶があります」
リサがすかさず説明するが、嘘八百もいいところである。いや、まぁ言われて喜ぶ人も中にはいるかもしれない。意味が理解できたウルドとミランダは面白くてたまらないという顔で、吹き出すのを必死で堪えている。意味をそっと教えてもらったアルフィリースはリサの服の裾を小さく引いて耳打ちした。
「(リサ、いくらなんでもそれはまずいんじゃ……)」
「(こんな面白い逸材を逃す手はありません。もしネタばらしをしたら、アルフィが社会的に活動できなくなるような情報を私の情報網でミーシア中に流します。怖いですよ? ガセ情報でも人は信じますからね、行く先々で見知らぬ人からひそひそ話をされる自分を想像してください。とても耐えられるものじゃありません。それはそれで面白くなりそうなので、なんなら体験してみますか?)」
無茶苦茶な脅し文句だが、リサなら本当にやりかねないのでアルフィリースは強く反対できなかった。
「(ご、ごめんなさいニア。でもニアもさすがに嘘に気付くよね?)」
などとアルフィリースは心の中で言い訳をしてみる。が、ぶつぶつと「そうか、そうなのか……それが人間の世界の礼儀なのか」と呟くニアを見てしまった。ちなみにニアが想像以上に生真面目で、この誤解を解くまでに相当の時間を要することになるのは後にわかる話である。
ともあれ次の目的地は決まったようだ。フェンナを心配する一方で、新しい冒険にどこか心躍る自分を隠せないアルフィリースだった。
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