テリトリーゲーム

カランドウ

第1話 

「なあ和也(かずや)知ってるか?」


「は? 何の話ししてんだよ?」



 俺は腐れ縁の旧友、那古(なご) 䜌(れん)の声に本から顔をあげる。



「何がって、テリトリーゲームってゆうスマホアプリだよ!」


「なにそれ? 面白いの?」


「いや、俺もやった事ないんだけどなな? でも今都市伝説業界で話題のゲームらしいんだよ」


「都市伝説? 眉唾ってコト?」


「分かんないけど噂じゃ影の実力者達が陰で地球上のあらゆる土地を賭け金にゲームしてるらしいぜ?」


「ふ〜ん、で? 調べてみたの?」


「それな〜 アプリだって話しだったから調べてみたんだけど全然出てこないんだよ!」


「はぁ? またかよ! 確か前回も前々回もお前下調べ甘かったよな⁉︎ ちょっとは学べよ!」


「ゴメンゴメンって〜 でもそうゆうのって和也の方が得意じゃん?」



 䜌は悪びれる様子もなく返すとソファーに置いてあった自分のスマホを出して何かのページを開いて見せてきた。



「これが?」


「そうそう、テリトリーゲームに参加したってやつも何人かいる部屋でさ〜」



 そう言った䜌のスマホには厨二くさい会話の記録が残された部屋が、こうゆうコミュニティーってゆうのは便利だよな。


 かく言う俺もこうゆうネットワークがあるから情報弱者にならずに済んでいる。


 それでも都市伝説とか興味ないからテリトリーゲームってのは聞いた事なかった。


 けど䜌の開いたページを軽くスクロールして読んでみると作り話とは言い切れない程度に作り込まれている。


 読んでみた限りテリトリーゲームって言うのは基本的に自分の領土があって、ゲームに負けると領土が削られて勝てば領土が一部奪えるらしい。


 ゲームの際に削られる領土が決められていない場合は自動的に全体の1割が持っていかれる。


 ゲームの内容は書かれて無い所が胡散臭い、けど、、、



「なかなか面白いな、作り話でもよく作りこなれてる」


「そうだろ! 久しぶりに面白いネタだろ!」


「そうだな、うん。 良いよ? 調べてみる」



 俺は䜌に言うと五月蝿いから出てけと右手でジェスチャーし奥間のパソコンとゲーム機が置いてある部屋に入った。


 少し遅れてドアが閉められる音と「おじゃましたな〜」がきこえた。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






「はぁ、はぁ、、、! ここまで来れば、、、」



 10代後半に見える男はビルとビルの間に潜り込み真っ暗な中で壁にもたれ呟いた。


 手には地味で機能性だけを求めた様なケースのスマートホン。


 息を切らしているところから走っていたことが分かる。



『プルルルルル、、、』



 小さな振動にビクッとした男は直ぐに通話を繋げて耳にスマホを当てた。



『あ、琢磨(たくま)? 今暇〜?」


「ああ潤(じゅん)か、ゴメン今立て込んでるんだけど、どうかした?」


『あれ? 何で息切れてんの? まあ良いけど、忙しいんなら後でかけるわ〜』


「おう、後でな」



 言って通話を切った男はスマホをポケットにしまうとビルの間から指す光を遮って立つ人影に向く。



「早いねアンタ、俺これでも足には自信あるんだけどな〜」


「ニシシシ! ぼ、僕から、さぁ! ぼ、僕からに、逃げられる訳な、無いじゃ〜ん⁉︎」



 影になってる上フードを被ってて顔は見えなくともゴツい筋肉質な体つきは分かる。


 右手に鉄製のバットを持った男が遠くで頭上に掲げ力強く地面にバットを当てた瞬間、ヒョロヒョロの息切れしていた男は足元の地面にヒビを走らせ脳天からはドバドバと血を流して倒れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る