第268話 対・竜種作戦
コボルトキング等の中ボスを落とした
厳密には全く同じでは無い。縦穴や広場の周囲の壁を分厚い岩にして頑丈にしてある。北西端の広場と縦穴も同様に頑丈に追加加工。
最初の作戦が上手くいけば、これらの縦穴と広場は使わずに竜種を倒せる筈。
この縦穴はそれでも倒せなかった場合の保険だ。
また作戦の影響からヒイロ君とウーフェイ君を守る為、土を出してゴーレムの周囲をきっちり囲む岩の部屋を作った。出口が無い頑丈な部屋だ。
この部屋の中にヒイロ君とウーフェイ君を移動させる。アイテムボックス経由以外では移動できなくなるが仕方ない。
これで
元々ヒイロ君やウーフェイ君を動かす事はほとんど無い。2体は
そうすればどちらかを経由して偵察魔法で
同様に騎士団の偵察用ゴーレムも防護措置を取って貰った。土属性魔法で周囲の土を岩に加工して、内部にゴーレムを納めているようだ。
騎士団の偵察用ゴーレムは小型なので、周囲の土を集めれば囲む程度の岩は作れる模様。
騎士団の方はゴーレム以外にも準備している模様だ。部隊を山の方や村の方へ動かしている。
これは最悪の事態が発生した時に備えてだろう。
アルベルトさんが来た日から2日後の朝、5半の鐘が鳴った後。
アルベルトさんとの打ち合わせ通り、私は作戦を決行した。
まず最初の作戦は、迷宮内の気圧を極限まで下げる事で竜種を倒すというもの。
北西端から竜種の感知範囲手前までの空気を収納する。こちら側は中ボスが出なくなった後に魔物がほとんど出なくなったので作業がやりやすい。
洞窟内に一気に霧が立ちこめた。気圧が下がった影響だろう。しかしまだ高山へ行ったのと変わらない程度の筈だ。
少し待った後、再び北西端から
何度も何度も繰り返す。
1回で内部の空気を2割減らせると仮定すると、3回やっても気圧は半減程度。実際は水分が蒸発したりするからもっと減りは遅いだろう。
それでも10回収納すると大分効果が出てきた。雑魚コボルトはほぼ倒れたし、
しかしまだまだ。目標は気圧が低すぎて水が常温で沸騰するまで。いくら
現に
さて、それでは再び収納!
その時だった。
かなり速い。縮地を使わないライ君の全速よりもっと速そうだ。
しかしこれは私にとってはチャンス。
これで更に気圧が下がった筈だ。それでも
私は更に空気を収納する。もうかなり気圧は低い筈だ。
しかし
まさか
そう弱気になりかける自分の心を鼓舞して、私は更に広い範囲で空気を収納。
周囲から水その他が蒸発しているのだろうか。それとも他に気圧を保つ何かがあるのだろうか。
気圧は偵察魔法でも見えないし感知出来ない。雑魚コボルトの死骸がボロボロになっているのが見えるだけだ。
空気が薄くなったせいか、広範囲でアイテムボックススキルを使っても収納出来る空気が
収納を何度も繰り返す。1回ごとに収納出来る量が変わらない感じ。
どうやら作戦の第一段階『
しかしまだ大丈夫。第二段階がある。
次に空気を抜くのは北西端側の広場と縦穴だ。
どちらも魔物がいない。 だから空間内の空気を一気に収納出来る。
勿論水分等が蒸発するから完全な真空にはならない。それでも内側は岩にして密閉してある。
だから空気は
念入りに何度も空気を抜いて、
そう思った瞬間、竜種が炎を吐いた。炎は
一方で炎を吐いた
通路を塞いでいる土や岩が広場近くまで赤熱した。熱でもろくなったが
強化済みの壁は僅かなひびが入っただけ。そして残念ながら
大丈夫、これくらいで
私は広場の床部分の岩を収納。次に
封鎖した土はすぐに土属性魔法で岩盤化し固めまくる。
足下に何も無くなった
どうやら
勿論そういった方法で飛べても大丈夫なよう作戦の理論構築は構築済み。しかし現状の方が私にとって都合がいい。
私は
出した空気が爆発するように膨張する。強烈な空気圧の差が
竜種は岩盤化した穴の下へと激突し、かつてのコボルトキング以上に潰れた。
数秒遅れて地響き、そして更に遅れて轟音。どちらも
偵察魔法で念入りに確認。間違いない、
ヒイロ君経由の偵察魔法の視界が揺れ始めた。
この感じは覚えがある。かつて攻略していた
私はヒイロ君とウーフェイ君を収納する。
20位数える時間の後、地下にあった不可視の部分が消え失せた。
元々あった場所にもさっきあった地中にも、もはやそれらしい痕跡は何も残っていない。
念の為
どちらであっても問題は無いだろう。確認は出来ないけれど。
終わった。改めてそれを実感する。
しかし達成感というのはあまりない。何とかなったという安堵感だけだ。
とりあえず作った穴を埋めておこう。地盤沈下なんて起きたら嫌だから。塞ぐのは縦穴&広場を4箇所と、デュオ君を送り込んだ観測用の穴。
勿論デュオ君は観測用の穴を埋める前に回収しておく。あとは土をアイテムボックスから出して埋めるだけ。
埋めて埋めて完全に埋めれば作業完了だ。
これでやっとお家に帰れる!
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