第47話 ローラッテの冒険者ギルド
円形で直径は
ただ食べ方は違う。店では焼いた円形のものを折りたたんで半円形にして出してくれる。それを少しずつ食べるという仕組みだ。
つまりピザまるごとを半分に折って一人で食べるようなもの。それが
ギルドに行くので取り敢えず収納したがなかなか美味しそうだ。食べてみたいがまだお腹が空いていない。だから1人だと多すぎる。
リディナと半分ずつなら大丈夫だろう。しかしリディナも食べるだろうか。
そんなしょうもない事を考えながら冒険者ギルドへ。
ギルドは私達が入って来た門から見て奥の方にあった。製鉄所らしいあの耐熱煉瓦の建物がある場所のすぐ手前だ。
「大丈夫、空いているよ」
先行したリディナにそう言われておそるおそる中へ。空いてそうな時間を選んだので大丈夫だろうとは思っていたたけれど。
「討伐や採取の褒賞金受け取りと、新規依頼受領に来たのですけれど」
「わかりました。どうぞこちらへ」
今回も受付は無事女の人だ。よしよし。そう思いつつリディナと並んでカウンターに座る。
「それでは冒険者証と対象の提出をお願いいたします」
「わかりました」
私はアイテムボックスから自分の冒険者証と、討伐対象である魔獣の死骸と魔物の魔石を出す。
今回は1泊2日分なので数としては多くない。魔小猪1頭の他はゴブリンやスライムの魔石、あとは薬草を少しという程度。
ただ魔小猪が体長
「こちらの薬草も一緒に計算して宜しいでしょうか」
「ええ、お願いします」
「わかりました。それでは計算して参ります。このままお待ちください」
この辺は何処の冒険者ギルドでもおなじみの手続きだ。しかしすぐに受付嬢さんは戻ってきた。
「ただいま裏で計算をしていますので、先に次の案件を伺いましょう。どの依頼を受けて頂けるのでしょうか」
これなら待たずにすむから助かる。なかなかここのギルドはサービスがいい。ただ待つと思っていたのでとっさに次の用件をどう頼もうか言うべき台詞が出てこない。
勿論対人担当はリディナがやってくれる。しかし最近は会話の訓練としてこういう場合に私はどう言うべきか考えることにしているのだ。
しかし予想と少しでも違うと私の言語中枢はオーバフローしてしまう。
「アコチェーノまでの運送に関する常時依頼があるとバマルケの冒険者ギルドで伺いました。こちらが紹介状になります」
リディナがそう言ってくれた。なるほどその通りだ。しかしこういう状況に応じた台詞というのはどうすれば上手くさっと口に出せるのだろう。
私なら何をどう言えばいいのか、どう言えば相手にわかって貰えるのかすぐに文章が出て来ない。まさに今のように。
私の場合会話の必要がありそうな際は事前に頭の中で状況をイメトレし、案文をいくつも作った上で練習する。そうやっても実際には言いたい事の半分もうまく言えない。
その辺、リディナは凄いなと思う。私の考えも全部理解してくれた上でその場に応じてさらっと代弁してくれるから。これだけでも充分リディナと組んでいる価値はある。
まあ他の点でもリディナがいないと私は駄目駄目なのだけれど。冒険者ギルドだって1人で入るのは無理だし。
受付嬢さんは封筒を開封して中を確認する。
「アコチェーノまでの鉄インゴットの輸送依頼ですね。引き受けていただけると大変助かります。
それでは本依頼の詳細について説明させていただきます」
受付嬢さんは机の下から紙片を取り出す。見ると掲示板に貼ってあるのと同じような依頼状だ。
ただいくつかの欄が空欄になっている。
「こちらがお持ちいただく依頼状になります。お渡しする際にパーティ代表者名、分量、依頼年月日を記載します。
その後鉄インゴットをアコチェーノの冒険者ギルドへ輸送、インゴットとこの依頼状を提出する事で依頼完了となり褒賞金が支払われます。
なお搬送に要する期間はこちらでインゴットをお渡しした日から数えて最大で8日間です。8日間あれば山越えをせず、サンデロント経由で行っても余裕で着くことが出来る筈です。
この期間を過ぎると依頼失敗となります。ただ何かの事故で期間内にたどり着けなかった場合でも、生きているならば必ずこちらかアコチェーノの冒険者ギルドに出頭してください。出頭されるまではインゴット盗難の虞ありという事で冒険者ギルド手配がかけられてしまいますから」
うんうん、もっともだ。私もリディナも頷く。
「さて、次は報酬です。アコチェーノの冒険者ギルドでインゴットを引き渡し依頼書を提出した時点で報酬をお支払い致します。報酬は期間内なら要した日数に関わらず
こちらでお渡しした時点でこの依頼書にお渡しした年月日と量を記載します。どれくらいお持ちになるかについて、今のうちに考えて下さい。
それでは先程の討伐・採取依頼の計算書及び褒賞金を持ってまいります」
「どれくらい持っていく?」
リディナが小声で私に尋ねる。
「不審にならない量、目一杯」
私のアイテムボックスの容量は神様のお墨付きだ。だからその気になれば幾らでも大丈夫。
ただあまり常識はずれな量を持っていくとそれはそれで問題になるだろう。その辺の判断はリディナ任せという事で。
「なら
「わかった」
私は頷く。
受付嬢さんが戻ってきた。
「お待たせしました。合計で
計算書を確認。魔小猪は皮も肉も使えるからかな。いい金額になった。
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