日向とのお留守番

雨月時雨

今日はどの絵本読む?

お昼を食べ終えた午後13時。

日向が眠そうしているからお昼寝の準備をする。

「日向ーお昼寝しよー?」

俺がそう声をかけると日向は眠そうに目を擦りながらやってきた。

「お兄ちゃん…」

「お布団入って横になろう?」

「うん…」

日向が布団に入ってからトントンと胸を辺りを優しくポンポンしてあげると、すやすやと寝息が聞こえてきた。

俺は日向が寝たのを確認してから布団が見える位置にあるリビングのテーブルに行きカバンに入っていた自分の宿題を取り出した。

(1時間くらい寝てるかな?)

俺は日向が寝ている間に宿題を進める。

日向が寝ていると静かで勉強がいつもより捗るから今がチャンスだ。


宿題を1時間ほどやっていると日向が起きてきた。

「お兄ちゃんおはよう」

「日向おはよう。おやつまでまだ時間あるけど何する?」

「お兄ちゃん絵本読んで!」

「絵本か…わかった!」

俺は絵本を読み聞かせすることはあまりやった事がない。

(とりあえずつっかえないように読んであげれば大丈夫かな?)

「お布団片付けてるから絵本選んでなー」

「わかった!」

俺は日向が絵本の入っている棚の前に行ったのを確認してから布団を畳み片付けを始める。

学校が休みになってから毎日やっていることだから慣れた。

(俺もこんな小さい布団で寝てたのか…)

俺は17歳で日向は4歳。

俺が中学生になった時に母さんが出産をした。

妹が出来たことには驚いたが今では可愛がっている。

リビングの隣にある母さんたちの部屋のクローゼットに布団をしまってリビングに戻ると日向が絵本を持って待っていた。

「決まった?」

「うん!」

「あ、絵本読む前にお茶飲んでトイレに行くぞ」

「はーい」

冷蔵庫からお茶をだしコップに注いであげる。

俺もついでに自分のコップにお茶を注ぎ一緒に飲む。

「お兄ちゃん飲んだ!」

「じゃあトイレ行っておいで」

「うん!」

日向はトイレに1人で行ける。

踏み台もあるから大丈夫だろう。

一応様子を気にしつつ母さんに『日向お昼寝させてお茶を飲ませました』とメッセージを送る。

母さんはこのご時世になってから日向の心配をすることが多くなった。

父さんも気にし過ぎだと言っていたが、俺は母さんにメッセージを送るのは苦ではないので構わないと言った。

「お兄ちゃんー」

「んー?どうした?」

「お水出せない」

「あ、ごめん」

俺がさっきトイレに行った時に蛇口を強く閉めすぎたみたいだ。

日向が手を洗い終えリビングに行く。

「絵本どれ読むんだ?」

「これと、これと、これ!」

日向は3冊の絵本を持ってきた。

保育園でも人気の3匹のヤギの話とクマの話と日向のお気に入りのうさぎの話の本だ。

「どれから読む?」

「ヤギさんから!お兄ちゃんあんまり怖い声で読まないでね?」

「わかった…」

日向を抱っこしてあげ絵本を読む。

この絵本を母さんや父さんが読むととても怖いシーンがあるらしくいつもビクビクしている。

確かに急に怖い所になるとビックリする…

ヤギの話を読み終え「次はくまさんの!」と言って絵本を差し出してきた。

この本を俺も小さい頃に読んだらしく母さんが新しく買い直してきた。

この絵本読むと無性にホットケーキが食べたくなる。

「日向明日母さんがいいって言ったら俺とホットケーキ作るか?」

「うん!」

俺がそう言うと目をキラキラさせて嬉しそうな顔をする。

母さんに後でホットケーキを作っていいか聞いておこう。

「次はうさぎさん!」

ウサギがイスを作る話だ。

これは俺も知らなかった話だが面白い。

動物がたくさん出てくるのが面白い。


3冊の絵本を読み終えるとおやつの時間だ。

今日おやつはおせんべい。

またコップにお茶を注いであげおせんべいを出して一緒に食べる。

その間に俺は母さんに『明日日向とホットケーキ作っていい?』とメッセージを送ったら、おっけいというスタンプとホットケーキミックスを買って帰るとメッセージが来たのでスタンプで返す。


母さんが帰ってくるのは4時だからあと1時間ほど。

今日の日向とのお留守番もあと少し。

俺はこれから家事をしないといけないので日向にテレビを見させ俺は食器を洗ったりする。

1時間はあっという間で「ただいまー」

という母さんの声が聞こえてきた。

「おかえりー」

俺の今日の日向とのお留守番はこれでおしまい。



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日向とのお留守番 雨月時雨 @kuroamemiya

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