ほのぼのとしたテイストで物語は進みます。しかし、作者様の作風をご存知であれば、すぐに気付くでしょう。きっと何かあると……。本作はKAC「おうち時間」をテーマに昨今の流行り病の近況をベースに作られています。サクサクと読んでしまえる巧みな文章に、惹き込まれRAYマジック。どうぞ、魅了されてみて下さい。脳内が混乱する読後感。癖になるかも知れませんよ。
母は今年で七十になる。月に一度の面会もかれこれ三年になる。私は話題を変えて一人息子のすばるのことを話し始めた。しかし、次の瞬間、私は言葉を失った。「すばる……? 誰のこと?」意外な展開あります。怖くもありますね。
語り手と対象との会話に、想定を覆され思わず読み返す。面白さや意表を突かれた、含みを持たせた最後には怖さも残し、まだ見落とした何かあるんじゃないかと思えるほど短いながらも読み応えありました。