第4話 建前と本音


なんだか気まずい


初対面に、挨拶もローテンションの2人が、抜け出して喫煙ルームで飲みながら談笑、しているように見える図


他の人が見たらというより


代々木君に何だか申し訳ない


「秋葉さん、歌近くなかった?」


よく見てないが、彼女が居た辺りが歌ってる所で僕はでた気がするから、順的にもうそろそろ彼女が歌う頃合かと思った


「カラオケあまりこないし、知らない人での前でのは歌はどうしても苦手でってパスしたわ」


その言葉通りに言わず、スルーした姿しか浮かばなかった


「貴方も濁して抜けてるじゃない」


顔に出てたのだろうか

鋭いツッコミを受ける


「随分と乗り気じゃないみたいだね、俺も人の事言えないけど」


「随分どころか全くね」


煙草を盗られてしまった為、新たに火をつける

コークハイは依然と彼女の手元に


「今日は女子からの誘いで別の学校とかのサークルの集まりでもないし、代々木君が本当に参加を頼み込んできたから来ただけ」


「女子の誘いだと行かないみたいな言い回しだけど」


「そうね、1度だけ仕方なく行ったらどうしようもくだらないコンパで、知らない男に詰め寄られて不愉快極まりなかったわ。しかもあたしは知らないのに、向こうは色々あたしの事知ってて、ぞっとしたわ」


あー、そういうことか


有名だし、他所の大学でも名前や顔が割れてるから、そこの男どもからうちの学校の女子経由で半ば無理やり連れてかれたやつか


「代々木君は悪い人じゃないし、不快な思いしなさそうで済みそうだし、参加だけしようと思っただけ」


参加の意味が少し違う気がするけど


お互い「場に来るだけの行動で参加した」


多少意味合いが違うかもしれないけど


代々木くんに対するそれなりの信頼と彼の誠実さを2人とも分かって来た感じか


同じ理由か



「ま、でもやっぱり苦手ね。これで下手に交友を深めて学校で影響が出たら嫌だし。一応代々木くんは良かれと思って一生懸命誘ってくれたし、その理由も真面目なものだし来ては見たけど」


どんだけ拒絶するんだこの子は


でも代々木君を無下にしないだけ少しは考えたのか


ほあーみたいな顔してるんだろうか僕は


なんとリアクションしていいか分からず加えた煙草に火をつけ上を向いて煙を吐き出す


「貴方もでしょ?上野くん?」


「ん。まあ」


と、彼女に視線を戻すと手が伸びてきて

また煙草を取られ、彼女は自らの口元に持っていく

新しいのあげるのになんでわざわざ


「こんなとこで長居してないで戻った方がいんじゃないの?」


「貴方もでしょ」


いや、僕はべつに差程気にされないだろうけど、秋葉さんは割とみんな来たことに楽しみにしてるから居た方がいいかと


そんなことを思った


「参加して挨拶もしたし、充分よ」


そんなもんか?


周りの男子女子は嘆きそうなもんだが



「ここで上野くん見てる方が面白いしね」


何が面白いのだろうか


何も面白みもないことしかしてないが


煙草を取ってコークハイ飲んでるだけで


「あたしに興味無さそうだし楽な空間だわ」


そういうことか


いつの間にか、煙草とコークハイは随分と減っていた


積極的な中の連中より


1人自分と同じ消極的な僕とここで時間潰してる方が楽なわけか


「ま。でもずっと抜けてる訳にもいかないし、頃合見て戻らないとな」


「終わり際でいんじゃない?」


ほんとに消極的だな

一応、代々木君の顔を最低限立てるために来ただけって感じか


まあ、多少なりとも義理は足りなくとも、応じたわけか


「貴方もそうでしょ」


「まあ、そうっちゃそうだけど」


「ふふ、誤魔化さずにストレートね」


くすりと笑う秋葉さん


「適当に空気と化して、1次会だけでも顔出したで充分かなって」


「参加から程遠い中身になってるわね」


お互い様でしょうに


煙草とコークハイは空になっていた


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