第3話 煙草とお酒
自分の近くにデンモクが来るのを見計らって、トイレへ行くふりをして喫煙ルームに向かった
バンドやってる事で、やたらと駿がリクエストされて歌っていて、唯我も歌ってるよーなんて爆弾を投下するから矛先がこちらにも向いてきた
それでも、そんな、いや、ほぼ面識らしい面識や交友も無い人間に歌えよと強要するような奴は居なく、やんわりとデンモクが近くに置かれるくらいで
後で歌わしてもおうかなーと濁して流した
そして、手渡されそうになった時ちょっとトイレとフェードアウト
交わす事だけは長けていると自負出来る
多分人生においてプラスになるようなスキルでもないけど
丁度部屋を出た時、トレイを持った店員さんが居て、頼んだコークハイがあったので受け取りそれを持って喫煙ルームに
壁にもたれ掛かり、煙草に火をつける
はー、BARやライブハウスで人込みは慣れてるのになんか疲れるな
ジャンルが違うし、学校の人達だもんなー
っても、知らない人ばっかだけど
「そうね、ほんと疲れるわ」
「え?」
真横で声がした
はて、聞き覚えが、、というかさっき初めて声を聞いたのだけれども
真横を向くと、彼女は空のグラスを片手に気だるそうにしていた
「え、なにしてんの?」
真横を向くと同時に僕の手から煙草を取りそのままそれを自分の口元へやる彼女
なんでここにいるの?と、合わせて2つの意味で何してんのだ
何言ってんの?
みたいな顔をした彼女は
ふー、と紫煙をくゆらせ細く煙を吐き出した
「美味しくないわね、お酒とは合うの?」
言うや否や、僕のコークハイを手に取る
部屋でお酒勧められてた時、お酒飲めないのでって断ってなかったっけ
「そんな悪くないわね」
コークハイを呑み僕の煙草をそのまま吸い続ける彼女
はじめましての挨拶も無しに
突然喫煙ルームで絡まれる
見ず知らずの人間が口つけたものを無闇に、、って
「飲めないって嘘だから大丈夫よ」
いや、違くて
それ言いたいんじゃなくて
まあ、いっか
ガキじゃないんだし、そんなこと言うのもなんか恥ずかしいな
「なら、いいけど 」
「上野君良いわね、ちょっと近寄り難い見た目だからそんなに絡まれなさそうだし、交わしやすそうよね」
いや、貴女も充分近寄り難いと思うってか言われてるらしーけども
「なにか言いだけな感じかしら?」
「いえ、なにも」
「お前もだろって顔に書いてあるわよ」
そう言うと、微かに笑った
これが僕と彼女の最初の接触だった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます