キカイ人形と花の乙女たち~この身を焼き尽くさんばかりの憎悪の行方は?~
矛盾ピエロ
序章:歯車が動き出し、舞台の幕が上がる
古き時代の終わりと新しき時代の始まり
曇天の雲間より光が差し込む。
西暦1900年代初頭、世界各地で戦火が燃え広がり世界中が悲嘆と憎悪の断末魔で満たされ、限りない狂気と破壊の衝動が世界を駆け巡る頃、それは現れた。
遥か
其れは根であった。どうしようもない程に大きく、どうしようもない程に圧倒的な根であった。
誰にも分からず、誰もにとって唐突に訪れた災厄。
根はやがて世界に根付くと、侵攻を開始した。
自らを枝葉のように伸ばした根からは蕾が無数に成り、自重に耐えきれず堕ちる。
果実が落ちるようにボトリと堕ちた蕾は花開き、中より異形の怪物が現れた。
驚愕も一瞬、根の出現により静まり返っていた世界はその鬱憤を晴らさんとばかり暴虐の限りを異形にぶつけ――――
―――――敗れた。
冷たい鋼の銃弾も、耳をつんざく爆撃も、死臭漂う猛毒も、全て無意味であった。
西暦1945年、世界は終ぞ団結することなく、分かたれた。
根は空を覆い陽の光が世界を直接照らすことは無くなった。
永い永い夜が始まった。
ナチュール教 聖典 序章1節『終わりと始まり』
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