What ever.
konnybee!
第1章 Shut the fuck up! 的な感じの元クラスメイト。
第1話 うそつき
そんな小山田 千穂子のお話し…。
🚃
今日の飲み会は本当にキツかった。終電間近まで解放しないとかパワハラじゃねぇか!
「女子は 2,500円ねー!」
意味わかんねぇし! 私はグランべサワー一杯だし? サワー一杯で 2,500円とかありえ無いし! 腹減ったし!!
週末の混み合う終電で、私は空腹のためイラついていた。自宅、最寄り駅に着いても、この時間では既にバスも走っていないだろう。これは田舎あるあるの問題点だ。
ただいまの時刻、22時45分。娘も明日は予定があると言っていたので、おそらく寝ている事だろう。お迎えは期待できない。仮に娘にお迎えを頼んだら、タクシー代より高く付きそうだ。
こりゃ諦めてタクシーだな…。
○○駅に着き、改札を抜ける。エスカレーターまでの長い行列は、タクシーも行列している事を予想させる。
最悪だ…。
私の目の前を歩く男性もきっとそうだ。タクシー乗り場に行くに違いない。
歩き方は軽やかだが、行列の具合にイラついているようす。
この男性は私と同年代だろうか? 綺麗な茶色がかった長い髪をうなじ辺りで縛っている。
西部劇でよく観る、濃いベージュ色のカッコいいロングコートを身に纏う男性。背は180cm以上はありそう。私の身長は158cmなので、見上げる形になる。
そんな彼のたまに見える横顔に、私は目をそらせないでいた。
下りエスカレーターに乗ると、彼のうなじがよく見える。縛った髪の
今の私は
すると、突然振り返る彼。どうやら私からの気持ち悪い
ばちん!!
彼と目が合う。
猛禽類のような鋭い目つきの男性。
ヤッバ! イケメンすぎか!
その男性が私に向かって話しかけてきた。
「あれ? 小山田?」
そうですとも。私の旧姓は小山田ですよ。
ん? ・・・ってあなた様は誰?
「うん、小山田。」
やべ!? 語彙力なさすぎだっちゅーの!
「ああ。俺の事なんて覚えて無いよね。俺って今以上に影薄かったからな。小山田はタクシーだろ? それじゃ。」
エスカレーターを降りると同時に、彼はスタスタとロッカーの方へ歩いて行った。
どんどん長くなるタクシーの行列をよそに、私の
ロッカーからヘルメットを取り出した彼は、再び私の視線に気がついたようだ。
ヘルメットを片手に私に歩み寄る彼。
「どうしたの? もしかして、お金が無い的な感じ?」
「うん。」
「今はほとんどのタクシーがクレカ使えるから大丈夫だと思うよ。」
「カードも無い。てか、お財布が無い。」
嘘ついた…。
お金もあるし、クレカもある。それどころかお財布じたいがバッグに入っている。私の自慢のPRADAのお財布だ。忘れる事など有り得ない。
「寒くてもいい?」
どういう意味だ?
「寒さには…強い…よ。」
なんで私は片言な喋り?
「それじゃこっち。」
そう言って彼は歩き始めた。
私は言われるがまま、彼に続き歩く。
脚のリーチの問題か、彼の歩幅は異様に大きい。交互に出す脚のスピードはゆっくりだが、私は競歩状態。たまにトテテテっと早足になる私を見て、彼が言う。
「どうしたの? 酔っているのかな?」
「飲んだのは一杯だけ…。グルンブ…。サワーだけ…。」
優しい口調の彼に対し、私の喋りはカミまくりの異星人だ。
そんな会話をする中、市内では有名なケーキ屋さんの前に到着。
「ここのお店のオーナーと知り合いでさ。バイクを置かせてもらったんだ。はい、これ娘のメットだけど、無いよりマシでしょ? あとグローブね。その手袋じゃ滑るから。」
クリーム色のヘルメットを私に手渡す彼。いい加減、名前を聞かなきゃ。
「どうしたの? メット被んないと乗れないよ?」
「名前…。」
「ああ、
それバイク! それってバイクの名前でしょ? 多分だけど。
「そう…なんだ…。カッコいいね…。」
うわぁ。なんだか私ってキモいかも…。
「ところで家はどこら辺?」
「国道のマックの近く。の大きい公園の近く。に川があって、○○の近く。」
「○○の前でいい?」
「のとこから、市役所の方に向かう途中にあるレンション。」
「レンション?」
「マンション…です。」
「オッケー。」
なんだよレンション!?
「それじゃ走るよ。」
「ムン。」
なんだよムン!
ウンって言えよ!!
ってふごぁ!!!
突然走り出すバイク。
そしてすぐに信号で止まった。
「お尻の下あたりに、グリップバーがあるから、それをつかむと楽だよ。」
え? お尻の下?
どこだ?
「いやそれ、俺のお尻だから。自分のね。」
恥ずーーーーーーっ!!
どこだよ?
あった! コレか?
って、ふごぁっ!?
信号が変わり、走り出すバイク。
何これ!
楽しいんだけど!?
気持ちいいんだけど!?
カーブ怖いんだけど!!
メチャクチャ楽しいんだけどぉ〜!!
「着いたよ。」
ゆっくりと止まり、エンジンを停止させる彼。
「えっ? もう?」
もっと乗りたい。
「つーか、小山田うるさい。子供みたいに騒ぐなっつーの。恥ずかしいから、早く降りて。」
声に出ていた的な?
大声で叫んじゃった的な?
ヤバいんだけど!
私からヘルメットを受け取り、それを後部座席のホルダーにかける彼。
「あの、ありがとう。また会えるかな? お礼したいし。」
騒いじゃったのを怒っているかな…。
「近所に住んでいるんだから、見かけることぐらいはあるんじゃない? 」
ニコッと笑いながら言う彼。どうやら怒ってはいないようだ。
「お礼は気にしないで。それじゃおやすみ。」
そう言って彼は走り去った。
マジか!
イケメンじゃねぇか!
同級生だよな!
あぁ。また会いたいな…。
でも、娘がいるって言っていたから、既婚者か…。
ダメじゃん…。
自宅マンションのエレベーターに乗る私。
エレベーターを降り、玄関に入ると娘が立っていた。
「ねえママ? 今のは誰ですかぁ〜?」
楽しそうに私に聞く次女の
「ああ。同級生よ。見ていたの? てか、起きていたのかよ!」
「あらあらぁ? 今日は会社の飲み会じゃなかったのかなぁ?」
リビングで私にコーヒを淹れながら、私に質問攻めをする娘。
「
「綾乃も起きているよ。今ね、さっき撮った写真を拡大して、ママの男の趣味を解析中。」
ちょっ!?
「こら綾乃!」
私は娘の部屋に、写真を削除するよう向かった。
綾乃の部屋に入ると、その写真はすでにPCに取り込んでいる。
「あっママお疲れぇと、お帰りなさい。」
「綾乃! 写真を削除しなさい!」
「うん。削除するけど、その前に見て。ヤッバイじゃん。めっちゃイケメンじゃん?」
モニターに映る先ほどの男性。
「あらやだ。こうやって見ても、本当にイケメンね。」
「きゃー! なになに? 恋っすか?」
盛り上がる長女の綾乃。
私と綾乃の会話に、妹の華乃がコーヒーを持って入ってきた。
そして、「名前は?」と聞く華乃の質問に、私は答えられずに黙っている。送ってもらったのに、知らないとは言えなかった訳だ。
「いいじゃぁん、名前ぐらい教えてよぉ。」
甘えた口調で私に聞く綾乃。
「わからないんだよね…。向こうは私の事を小山田って言っていたけど…。」
「キャハハハ! ウケる! 何それ!」
笑う華乃。
「あっ。そう言えば、ママに来ていたよ。」
そう言って、綾乃が玄関から郵便物の束を持ってくる。色々と届くDMや案内状を振り分け、一通のハガキを見つけた。
「あった。これこれ。」
綾乃から渡された、往復ハガキ。
そこには
第30期生 ○○○中学校 同窓会 案内状
と書かれていた。
なんだか違和感を覚える。
「近所だったら会えるんじゃん? もしかしたらだけど。」
そう言って華乃は出席に丸を付けている。
「だねだね。お父さんとも離婚が成立したし、ママの第二の人生の始まりだね。」
「だねだね!」
盛り上がる娘たち。
まったく。向こうは既婚者だし、私には関係ないんだけどね。
でも。もう一度会って、きちんとお礼ぐらいしないと。
ん?
あれ?
ここって実家じゃないし、何で私がここにいる事を知っているの?
しかも、横山(旧姓 小山田)って、中学の同級生を結婚式に呼んでいないから、私が横山だというのは知らないはずだよね…。
だいたい幹事の、(株)同窓会屋さん って、何? めちゃくちゃ怪しいんだけど。
これって、大丈夫なの?
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