おうち時間で人生が変わりました。

キザなRye

全編

“外出自粛”、この言葉だけで私は外に出ることを躊躇ってしまう。

この言葉がわざわざ発されるということは並々ならぬ状況になっているということである。

私ではない他の誰かが苦しんでるかもしれないし、私ではない誰かが一生懸命頑張っているかもしれない。

中にはそんなこと気にせずに“Yes!外出!”みたいな人もいるとは思う。

私は苦しんでいる、頑張ってるその誰かのために少しでも外に出るのを控えたいのである。



そうは言っても外出することが生き甲斐みたいな人なので家にいても長時間過ごせるほどのことを持ち合わせていない。

私のこの“暇時間”をどうにかする方法はないのか、私はこれでもかってくらい考えに考えた。

結論は出なかった。

一旦やることもなくだらだら過ごそうかなと特に見たいものがあるわけでもないテレビを付けた。



見たいものがあるわけではないのでずっとテレビと向き合っていても面白くない。

ちゃんと今後を考えなければと思ったときにふと一つのコマーシャルに目が行った。

世の中で今話題になっているゲームカセットのコマーシャルである。



普段は家で過ごすこともないから買ってもプレーしないよなと思ってスルーしていた部類のコマーシャルだが、今は兎に角ステイ・ホームをしてそのおうち時間を充実させたいという思いでしかないのである。



これは買うしかないだろうと心に決めてからの私は早かった。

すぐにネット検索して発売元公式のホームページでゲーム機本体とカセットをポチッとした。

決めてからここまでは十分とかからなかったと思う。

後から聞いた話だと私が買った2・3日後には即完売で最低二ヶ月は入荷待ち状態だったらしい。

私の行動力の早さがなければ買うことはできず、そのまま一生手元に来ることがなかった代物になっていただろう。



それから二日としないうちに注文したものが到着した。

到着するまでの時間は手持ち無沙汰ではあったがそろそろできるというような期待感で充実していた。



届いてからは私にとっては充実した日々だった。

こういうものには一切触れて来ないでここまで生きてきたので初めてのゲームというものの魅力を存分に感じたのだ。

ゲームが面白いという人たちの気持ちがようやく分かったような気がした。

こんなに魅力的なものがあったらどれだけ出掛けなくてもやっていけるだろうと思った。



暫くゲームをやっているうちに世の中にはゲーム実況者という分類の人がいることを知った。

ゲームそのものに興味をそそられていたので自分がプレーしているものとは違う種類のゲームの実況を好んで見た。

いつしか私もこういうふうにゲームをプレーしていないにも関わらず、ゲームを楽しましてあげられるようなそんな人になりたいという思いを持ち始めた。



そんな思いが強くなったときにまだ暫くステイホームが続きそうだということもあって本業の傍らでゲーム実況(といってもただ自分がプレーしている映像をアップロードするだけだが)をすることにした。

やってみると案外楽しくて視聴者からも好評だし自分の中でゲームの立ち位置がおうち時間で一変したのである。



私のきっかけはおうち時間だったが、新たなことに挑戦することは新たな自分自身の開拓に繋がると肌で感じた。

私は今後もゲーム実況をやめるつもりはないし、また新たなことに挑戦していきたい。

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