詩集「空と星と海への呟き」

宵野暁未 Akimi Shouno

1 忘却の海

黄昏の南の島の天空に

やがて星が輝き始める


風は水晶のように透明で

海はただ微睡まどろむばかり


銀のさざ波を寄せ返し寄せ返し


昨日の愛

明日の哀しみ


ほの白き砂浜に打ち寄せた想いのかけら拾い集めて

貝殻の螺旋らせんの中に封印し


昨日の夢

明日の現実


マリンスノー降り積む深海へと沈めよう


海と風の絶えることなき無情の唄に


名前さえも忘れ果て

時間さえも忘れ果て


海豚等の眠る銀の波間も

蒼い月明かりに沈む砂浜も


何時か静かな暁を迎え

微睡まどろみの夢のその果てに


彼方の宇宙ソラへと還る


  (1997 H9年 12月)


   **************


 この詩は心象風景で、私は南の島に行ったことはありません。


 私は1歳頃からの鮮明な記憶があり、記憶は薄れることなく蓄積される為、日々フラッシュバックに苛まれます。全てを忘れ、海の底に沈むように眠りたい、そして、空の彼方へと吸い込まれたい、それは、夢や憧れではなく、切実な願いでした。


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