〇人レクイエム。
一筆 つむぎ
〇人レクイエム。
友達の数をかぞえる習慣は、小学生に上がったときに始まった。
両手をかざせた頃は、翌日の学校が楽しみだった。それから中学、高校、学生時代を経ると、片手だけで足りるようになった。
三十路になれば、三、二、一……〇人になってしまった。
ふとしたときに、昔よく流行った曲をクリックしてみる。懐かしすぎて目の奥が熱くなったり、気づけば声に出して歌うこともある。
ノスタルジックな気持ちをカラオケで共有し合える友達はもういない。——スクロールしてコメントに「いいね」をクリックしていくだけだ。
あーさみしい。
ケンカして離れて、住む場所が変わって疎遠になって——気が合わなくなって——会うこと自体が億劫になっていった。
どうしてだろう、なんて自分に問いかけてみるけど、自業自得な気もするな。
あの人のように誰かと気軽に会話ができたなら。意気込まず、力まずにスーっと会話に入って、自然な流れにのれたのなら。
今週末には予定があって、着信も鳴っていたかもしれないね。
独りで過ごすことへの耐久力が高まる一方で、人に対してはすごく臆病になってしまうから。この先も、友と呼べそうな人はできないのかもしれない。
どこかのタイミングで現れてくれてもいいんだけどな。そしたら大切にできるかな。
いなくても大丈夫だったりもするけど。いたらいいなっていう話。ここまできたら、友達のいない世界を生き抜くしかないのかもしれないね。
人が離れていく私が私。初対面の人に「なんだかぎこちない」、「なんだか変」と思われるのが私。それでいいのかも。
だけど、次にもし、また生まれることがあるとしたら。誰かと繋がることを苦とせず、友ができやすい要素を神様が注いでくれるとありがたい。
〇人レクイエム。 一筆 つむぎ @ippitsu_tsumugi
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