Angel Halo
ココ
プロローグ 佐々木小春
「…ひま」
佐々木小春は机に突っ伏したまま、ため息とともに呟いていた。
大学は夏季休暇に差し掛かり、数少ない友人たちはそのほとんどが実家に帰省してしまっている。そうでないものはアルバイトに精を出していることであろう。夏だ!海だ!などといういわゆるリア充なイベントに縁のない小春は、一人自宅で暇を持て余しているのである。かといって課題を進める気にもならないときた。
そこへふと買ったはいいが開けてすらいないゲームのカセットたちが目に入った。
「ゲームねぇ…。間違えて攻略サイト見ちゃったんだよね…」
ゲームに時間を費やすこと自体は小春にとって非常に魅力的な選択肢であった。しかしすでにネタバレしているものとなると話は変わってくる。自分で情報を集め、手探りで一つ一つ進めていくことに小春は楽しみを感じるタイプであるからだ。それゆえに一度もプレイすらされないまま平積みになったゲームがいくつかある。
深いため息とともに机から顔を上げた小春は、スマホに友人からメッセージが届いていることに気が付いた。メッセージの差出人は幼馴染の神田紗耶香だった。
「はい?え、ちょ、今から行く??…って、きてるの30分前じゃん!」
慌てても仕方がない。よしまずは深呼吸…。
どんなときも冷静に対処する。それが小春の長所であり短所でもあった。
服装…パジャマだな、着替えよう。寝ぐせはお風呂にでも入ろうか。部屋に関しては考えるまでもないな、よし諦めよう。となればお風呂から済ませてしまおう。
そのときピンポンとチャイムが鳴り響いた。
「小春ー来たよー」
そして間髪入れずにマンション中に響き渡る紗耶香の大きな声。インターホンを介した意味はあるのだろうかと思わずにはいられない。
「ごめん紗耶香…。今からお風呂入るから3時間だけ待って?」
「待てるかぁぁぁあああぁぁぁぁぁ!!」
…ですよねー。
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