エピローグ

 クローゼットの扉から、50歳の私は元の世界に帰って来た。

 試しに、もう一度クローゼットの扉を開けてみた。そこにはやはりクローゼットしかなく、あの白い部屋は出てこなかった。


 あそこにいたのは、本当に未来の自分なのか?

 それは分からない。


 一つの可能性なのだろう。


 そして、過去の自分。

 久しぶりに自分自身が何を考えていたのか思い出すことができた。


 あの時、それぞれで悩んだり苦しんだり。そして楽しいこともあった。

 それが、今の自分につながっているのだろう。



 数日後、その時の記憶がどんどん薄れていることに気づいた。

 何らかの操作がされているのだろう。


 まぁ、それは当然だろう。

 未来を変えてしまうことになるかもしれないのだから。


 私はこれからも生きていくのだろう。

 過去・現在・未来。

 つながっている時間の流れの中に身を任せて。

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