第14話 坂城健吾 70歳の質疑応答

 そこにいた全員が拍手をした。

 70歳の彼は慣れているようだ。

 白髪が目立つが、髪はきれいに切りそろえられている。

 服装は、Tシャツにジーンズ。


 70歳にしては若く見える。


 60歳の私が聞いた。

「再婚したのか・・・?一体いつ?誰と。」

「そうなんだ、63歳の時だよ。相手は・・・60ではまだ会っていないね」

「なんと・・・驚いたな」

 40歳の私が聞く。

「子供がいるって・・・そうなんだ」

「まぁ、驚くのも無理はない」

「それにしても、専業主夫って・・・お金は大丈夫なのか?」

「まぁ。奥さんが働いているしな。貯金もあるし」


 30歳の私が聞いた。

「奥さん。若い方なんですか?」

「そりゃあね・・まだ30代だし」

「30代?・・そりゃまたずいぶん若いんですね」

「自分自身が驚いているよ。こんなことになるなんてね

 でも、今は幸せだね」


 この年齢にして、ようやく幸せになっている。

 60歳の私が、驚いている。


 無理もない。

 たった数年で、自分は変われるということを知ったのだから。


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