第4話 坂城健吾 20歳の質疑応答

 そこにいた全員が拍手をした。

 20歳の彼は照れてポリポリと頬をかく。


 ぼさぼさの髪。よれよれの服。

 ニキビだらけの顔。


 改めて見ると・・・我ながら、ひどい風体だ。


「あの・・・」

 10歳の私が聞いた。

「ノストラダムスの大予言って、当たったんですか?」

「残念、来年だ。俺も知りたい」

「まぁ。ここにそろっているメンバーからわかる通り、何もなかったよ」

 30歳の私が答える。


 50歳の私が、なぜかうつむいているが・・


「今、したいこととかやりたいことってあるかい?」

 40歳の私が聞く。

 何やら思うところがあるようだ。

「そうだなぁ。彼女が欲しいかも」

 恥ずかしそうに答える20歳の私。

「それじゃあ、まずは清潔感が大切だ」

 40歳の私が言う。

 20歳と30歳の私が驚いく。

「髪を整える。ちゃんと風呂に入る。そして服装に気を付ける。

 あと、一番大事なのはマメさだけどね」

「なるほど・・・」

「じゃあ、結婚できたんだ」

 40歳の私がうなづく。


「他になにかあるかい?」

「したいことじゃないけど、高校の時の友人とはいつまで付き合ってるのか気になるなぁ」

 高校時代の友人とは、大学に入ってからも親しくしていてよく遊びに行っている。

「心配しないでも、まだまだ付き合ってるよ」

 50歳の私が答える。

「へえ・・そいつはすごいや」

 感心する20歳の私。


「あと一つだけ言っておく」

 40歳の私が言う。

「タバコだけは手を出すな。あれは、やめるのが死ぬほど大変だった」

「あ・・・」


 タバコを吸い始めたのがこのころだった。

 というか・・・実は、もう吸い始めているのだ。

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