第2話

 隣の席の徳大寺さんは、少し変わっている。


 帰りのホームルームが終わったあとは、いつの間にか教室からいなくなる。


 でも最近は、僕の部活が終わるのをどこかで待ってくれているらしい。

 気が付いたら、徳大寺さんと下校することが日課になっていた。


「ねぇ、徳大寺さん。思ったんだけどさ」

「どうしたの、謙介くん」


 徳大寺さんは、僕に対していつも笑顔だ。


「それ、僕と同じ名前なんだよね」


 僕は、徳大寺さんが手にしている、角の塗装が少し剥げているスマホを指さした。


「うん」

「機種変したら、どうするの?」


 そう聞くと、徳大寺さんは頬を赤らめて視線を逸らした。


「……これ、謙介くん弐号機なの」


 やっぱり、隣の席の徳大寺さんは、少し変わっている。


 その機種は、確か1年半前に発売されたものだった。

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