エンドロール
僕の足元で、一人の女性が背中から真っ赤な翼を広げて横たわっている…
「…彼は嘘つきだ。君は【蛇】のはずなのに、なんでそんな美しい翼なんて…。でも、すごく綺麗だよ」
うっすらと開いている彼女の瞳が何か言いたげだった。
僕には、彼女の言いたいことが、願いが解っていた。
でも、何もせずにこのまま彼女の物語が終わっても……。
『それもアリかな』なんて思ってみたけれど、彼女がその瞳にエンドロールを映しながら窓を、鳥籠を、空を見つめている。
机の引き出しから取り出した鍵を、鳥籠の南京錠に手をかける。
「そういえば、僕には【蛇】を紹介してくれなかったんだね」
彼女の物語が、どんな終わり方だったのか。
それはとても興味深かったけれど、もう聞くこともできない。
僕はきっと、あと数日数時間数分数秒後もすれば誰かの【蛇】になってしまうんだろう。
でもそれは、今の僕には荷が重すぎる。
僕は彼女の紅い翼を壊さないように膝をつき、瞼のスクリーンに映像を映し始める…
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