地点0

小泉毬藻

最期の火

アパートの窓から通りを眺めていると、人々が荷物を手に駆けていくのが見えた。付けっぱなしのTVでは連続爆破事件についてずっと喋っている。

アナウンサーが言うにはこの事件は犯人がどこかへ向かって、何らかの意図をもって、点つなぎの様に爆弾をしかけているのだ、そうだ。


ああ、果たしてその通り、すべては私が、私の生家から今の家に向かってじりじりと、3日おきに爆発するように仕掛けたんだよ。ご名答。貴方自身の言葉ではないけれど。アナウンサー君。


私は炎を介してのみ人と係われる。

言葉を無くした子供の時に気づいたのだ。

子供の時、花火を握って友達を追いかけたあの時から。

その時の事を思い出すとなぜかいつも涙がこぼれる。


私は腕の中で脈動する箱を撫でた。

あと3時間で終焉を迎える。

その時もきっと泣く。

嬉しくって、泣く。


お題「爆弾魔は終焉に泣く」

https://twitter.com/hacca0505/status/1366731263445397509

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