第5話

 なるべく、気配を出さないように生きてきた。誰にも気付かれず、理解されず。ひっそりと、静かに。そういう生き方。

 どうせ幻想に消える命。特に仲良くなったり、個人的な繋がりを持つことに意味はない。

 漫画を描くのが好きだったので、色々と描いた。自分で描いて、自分で読み直して。その過程で細かい調整をするのに、インターネットを利用していた。それがどこかのひとの目に留まって、本にしてもらえた。よく分からないが、なんか売れたらしい。文庫にしてくださいと言ったら、珍しいことに文庫版のみのリリースにしてもらえた。

 外では、だいたいそれを読んでいる。自分で描いたものだから、自分で読んで、とても楽しい。

 いつものように読んでいて、そして、彼女に、出会った。

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