楽しもう、全てのエヴァファン。

柿.

卒業

 いよいよ明日、シン・エヴァンゲリオン劇場版が公開され、この人気シリーズは完結する。十年近く、半生に渡ってこのコンテンツを追いかけてきた自分にとって極めて感慨深く、同時にそれ以上に寂しい。

 箱根にも行った。エヴァ新幹線にも乗った。エヴァ展にも行った。星の数ほどある考察サイトを観て新たな気づきを得、憤りを感じた。   

 未完であるが故の白昼夢。ずっとこれが続くとみな錯覚してしまっていた。しかし、終わりは突然やってくるのだ。


 公開日が告知されてから公開まで残り十日というこの短い期間を我々は一人一人それぞれのやり方でこの日に備えてきた。

 延期に延期を重ね、奇しくもこの卒業シーズンの最中公開されるエヴァ。たまたまなのかもしれないがここに意味があるのではないか、と私はどうしても考えてしまう。

 オタクを夢から覚まさせ、現実へと引き戻した、旧劇。シンは物語の終結。そう、卒業。そのように考えてしまう。

 学校に入学するというのは卒業へのカウントダウンが始まることを意味する、はじまりはおわりのはじまり。ずっと続くと思っていた高校生活。前作『:Q』から今作までこの白昼夢も同様に終わらないと信じていた。三年という期間。およそ九年という期間。いずれも思い返せばあっという間だ。

 はじまりがあればおわりがある。これは自然の摂理といっても過言ではない。終わる、というのはとてもとても寂しいことだが、むしろピリオドを打てるということに感謝すべきだ。


 いよいよ明日、私は〝エヴァ〟を卒業する。明日観に行けないという人は明後日、今週観に行けない人は来週。各々が各々の日にこのコンテンツの幕引きを図る。

 そして、卒業式の後には打ち上げがある。感想を述べ、議論し熱く語り合うのだ。これが私達にできる精一杯だ。


 最後に、コロナ禍の中懸命にものづくりを続けた製作陣、キャスト、その他関係者の皆様には感謝しかない。ありがとう。


ありがとう、全てのエヴァンゲリオン。そして、


さらば、全てのエヴァンゲリオン。


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楽しもう、全てのエヴァファン。 柿. @jd2020

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