オタクの僕の日常は、推しが隣に越してきて、非日常に変化する。

京わらび

第1話

 この日から僕の日常は変わっていった。

 少し古く、家賃の安いアパートに住んでいる僕、久田暖人(ひさだはると)は、大学二年生でオタクだ。

 ある日、講義が終わり、大学から帰宅すると、誰も住んでいなかった二階の僕の隣の部屋に、明かりが灯っていた。


「新しい人が入ったのかな。」


特に気にすることなく部屋に入り、部屋着(グッズTシャツ)に着替え、コンポで推しの音楽を流し始めた時、インターホンが鳴った。


「♪~、♪~」

「はーい」

「隣に越してきた者です。少々お時間いただいてよろしいでしょうか。」

「大丈夫です。今出ます。」


ドアを開けると、そこには女性が立っていた。そして、その女性は、


「はじめまして。下村冬花(しもむらとうか)です。これからよろしくお願いしす。」

「はじめまして。久田暖人です。こちらこそよろしくお願いします。・・・ってええ!?」

「? どうされましたか?」

「もしかして、Vsingerの【花(はな)】さんですか?」


そう聞くと、彼女は目線を反らした。どうやら図星のようだ。


「いいえ。」


少し間があいてから彼女はそう答えた。


「目が泳いでますし、間があいてましたけど。」

「うぅ~。」

「もう一度聞きます。【花】さんですね?」

「そうです。このことは誰にも言わないでください。」


 だんだん声が小さくなっていった。かわいい。

こうして、僕は彼女と出会い、日常が変わっていった。


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