第11話
アテナ様が語り出したのは、まさかの事だった。
「……倒しきれなかった……?」
「いや、ごめんね。正確には正しくはなかった。《《倒したけど倒してない》》と言った方が正しいかな、この場合は」
「……?」
余計にこんがらがり、頭の中にはてなが浮かぶ。倒したけど倒してないとは一体……?
「あの時、確かに私はあの邪神を倒した。ロンギヌスで奴の胸を貫き、きちんと消滅した。それはしっかりと確認した」
「それじゃあ、倒したんじゃないんですか?」
「あぁ。邪神はあの時しっかりと倒した――――でも、倒しきれてなかったんだ。悪魔によって」
アテナ様はこう語る。悪魔とは、邪神によって産み出されし、決して邪神に逆らわず、契約を遵守する存在。
その悪魔の中に、邪神を構築するいくつかの『存在の欠片』を、アテナ様達にバレないように植え付けたのだという。
だがしかし、それは本当に微量すぎて埋め込まれていた悪魔でさえ気が付かなかったものだった。
ここからが問題なのだが、今回の元の元凶はアレシオン王が呼び出した悪魔『フラウロス』なのだが、この悪魔、相当頭がいいらしく呼び出された時に違和感を感じたらしい。
それを突きつめ、自身の体の中に邪神の欠片がある事が判明。自分を生贄に邪神を復活させた、というのが今回の流れだという。
「でも、フラウロスの贄だけじゃ足りなかったみたいだね。だから、王都全体に人から生命力を少しずつ吸い取り、力を取り戻そうとしている」
「……!あれか」
アテナ様の言葉に、エリメラ様を救いに行った時の王都の光景を思い出す。どこか生気のない顔はあれが原因だったのか……。
「このままじゃ、いくら私の愛し子だけじゃ流石に倒しきれない……だから、私が手を貸すことにした」
アテナ様の言葉に、息を飲み込んだ。
「魔法の神、知恵の神とも言われた私が全面的に協力する――――さぁ、新たな神話大戦を始めようではないか」
「ですが、実際問題どうやって邪神を倒すのですか?」
アテナ様が居た空間――――『神泉鄉』と呼ばれた場所から戻ってきた俺たち。アテナ様という非常に心強い味方が加わったのはいいのだが、邪神は一体どのように倒せばいいのだろうか……。
「悪魔と邪神は元を辿れば同じ力だが、邪神にはもちろん、封印武器なんて小細工は通用しない。……復活直後だったらまだ希望はあっただろうが、今はほとんど不可能だろうね」
「やはり、そう上手くは行きませんか……」
分かってはいたことだが、封印武器は無理……100本くらい用意すればいけるか……?
「でも大丈夫、安心して。邪神は充分に愛し子達の中にある、私が授けた『神器』で対処可能だよ」
その言葉を言った途端、空から急に光が差し込み、それを切り裂きながら落ちてくる一つの物体をしにんした。
というか、神器の神杖ロンギヌスだった。
「ロンギヌス!?」
「おぉよしよし、久しぶりだねロンギヌス。元気だったかい?」
突然と現れたロンギヌスに驚きを隠せなかったが、アテナ様はそれにさほどビックリした様子はなく、普通にそれを握りこんだ。
……なんか俺が握っている時よりも嬉しそうにしてないかあいつ。いや、まぁ俺は確かにアテナ様から一時期授けられているだけだけどさ……あんなに嬉しそうだと………なぁ?
「うん、うん。今のご主人様をしっかり助けているようで安心したよロンギヌス……でも、そんなに露骨に嬉しそうにすると、君のご主人様が嫉妬しているからそれなりにね」
ニコリと笑いながら俺にロンギヌスを差し出すアテナ様。しっかりと俺がちょこっと嫉妬したのにも気付かれた。
握り込むと、ロンギヌスからもなんか『ご、ごめんね?』みたいなニュアンスの入った魔力が送られてきた。杖にも気を遣われる俺って………。
「さて、話を戻すけど今回邪神を倒すのにキーとなるものは神器だ。今君たちで手にしているのは愛し子の杖、女帝の弓、エルフの姫君の銃の三つか……ふむ」
アテナ様が顎に手を当てて考える。邪神の今の力がどれだけあるかは分からないが、流石に神器は三つあれば充分なのでは?異界から来た魔神のビンスフェルトは二つの神器で倒すことが出来たし。
「………少し心配だな、その倍の六つくらい用意しとこうか」
「用意ですか?」
「うん。流石に愛し子みたいにずっとという訳には行かないけど、私が力を貸せばある程度の実力を持った魔法使いならば『神童』にランクアップさせて、『神器使い』へと至らせることが出来る。本当に一時的だけどね」
アテナ様が言った言葉に、俺たちは思わず身を硬直させるしかなかった。
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昨日一昨日は、学校でテストがあり、そのための勉強を朝からしていたので投稿出来ませんでした。本当に申し訳ありません……堪忍してください。留年はいやや……
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