第9話
「先手は俺がやる……行くぞ、
背後に、擬似太陽が浮かび上がる。それを見て、ビンスフェルトがこの太陽を警戒したような気がした。
「
全てを燃やす太陽が魔神に向かって堕ちる。これで少しは消耗させればいいが、結果は見ずに次の準備へと移る。
視界の端で、エリアスとマリナさまが行動をしたのを確認し、神器を呼び出す。
「我、神童の名に於いて、母である神との接続を開始する」
魔力の渦が俺を中心として荒れ狂う。今まで何度も感じた力の奔流に、体の底から絶大な力が湧いてくるのを感じる。
「偉大なる魔法の神であるアテナよ。我の声を聞き、どうかこの手に神殺しの象徴である伝説を」
雲を切り裂き、空から一つの光が切り裂いてくる。それと同時に、久方ぶりに感じる何かが入ってくるの感覚。
『一応大丈夫だと思うけど、私も心配だから力を貸してあげるよ。私の愛し子』
「―――解放、そして顕現せよ」
相棒である『神杖ロンギヌス』を手に取る。
『神器解放。久しぶり、相棒』
挨拶代わりに魔力を流すと、嬉しそうに返してくるロンギヌス。はは、こやつめ。久しぶりに俺に使われるのがそんなに嬉しい――――ん?
お前……なんか前使った時より嬉しそうじゃない?まぁいいけど……。
視線をビンスフェルトへと戻す。もう既にマリナ様とエリアスは本体へ斬りかかっており、他のみんなも触手を切り落としたり、魔法を当てたりと善戦中。
中でも、ティルの動きがすごい。大罪武器を活用して次々と触手を海に沈めていっている。俺も負けてられないな。
まずは全員に強化魔法を更に上乗せする。戦闘前にもかけていたが、今に俺の状態の方が全てにおいて上なので、これで皆の動きが全体的に良くなる。
『次、
通常状態の俺ならば、さすがの俺でも魔法陣からしないといけないが、今はわざわざ魔法陣を介す必要は無い。
指をパチン!と鳴らすと一瞬にして出来上がる雷の槍。その数合計100個。躱せるものなら躱してみろよ。
『行け』
その言葉を合図に紫の軌跡を残しながらビンスフェルトへ突撃していく
「先生!」
『ん?』
後ろからメリウスの声が聞こえると、突如として視界の端から現れた触手。
―――――なるほど、彼女もか。
………ん?あれ、何か体から抜け出たような――――
先生を殺そうと迫る触手。私は、それを見て頭が真っ白になる。
助けないと。と思うが、思わぬ事態に私の体は動かない。
助けないと……先生を助けないと………!
―――――やぁ、はじめまして……ではないね。久しぶり、私の愛し子。
思考が振り切った時に、どこからともなく声が聞こえた。
――――彼を助けたいなら、なんの疑問も持たず、私と同じ事を繰り返すんだ。
助け……る?
――――そうだね。彼ならば別に何もしなくても―――おっと、これは無粋だね。とりあえず、私の言葉と同じことを言うんだ。
………。
『……我、神童の名に於いて、母である神との接続を開始する』
「……んんっ!?」
とりあえず、襲ってきた触手の方は
……え、なんかメリウスが神器呼び出そうとしてるんですけど。
『偉大なる魔法の神であるアテナよ。我の声を聞き、どうかこの手に神殺しの象徴である伝説を』
雲を切り裂き、メリウスの手元にふよふよと浮いて、持ち主が手に持つことを待つ神器。
あれは……!未発見の銃か!
『―――解放、そして顕現せよ』
そして、二丁を片手ずつに持ち、その全貌が明らかとなる。全体的に白色で、大きさは約40センチほど。所々金色の美しい装飾が施されており、見るものを全てを魅了する。そんな銃だ。
『神器解放。神銃ロンギヌス』
未発見の伝説が今、この世に顕現した。
「………え、なんですかこれぇぇぇぇ!!」
「メリウスちゃん!……え!?なにそれぇ!」
遠くで触手を迎撃していたカレンが、メリウスの叫び声に反応する。そして、手に待っているロンギヌスを見て同じように声を上げた。
―――私の役割はここまでかな。完全に予想外だけど……それじゃあね、私の愛し子。また夢の中で。
そんな声が、遠くで聞こえた気がした。
「メリウス!」
「せ、先生!な、なんですかこれ!」
「え、自分で呼び出しておいて……?まぁいいや。それは神器だ」
「神器……って、先生が使ってる……」
その言葉に頷いて、俺は持っているロンギヌスをメリウスに見せる。
「……よし、ぶっつけ本番だが神器レクチャーしてやる」
「え……えぇ!?」
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