第8話

「気をつけろ。マリナ様、真名解放をしている」


「……なるほど、急に髪色が変わったと思ったらそういうことか―――アスカロン」


 聖剣の性能を100パーセント発揮させるために行う『真名解放』。マリナ様の聖剣グラムは、一部の地域では魔剣とも称される武器である。


「マリナ様のグラムは、『怒りをあらゆるエネルギーとして変換』することが能力だ!そして、真名解放中のマリナ様は―――――」


「メルジーナさんメルジーナさんメルジーナさんメルジーナさんメルジーナさんメルジーナさんメルジーナさんメルジーナさん………」


「―――とても怖いっ!」


「言ってる場合かっ!」


 いや、お前マリナ様見てみろ?髪が赤くなった上に、瞳のハイライトが消えた状態でメルジーナ様の名前を永遠と呟いてるんだぞ。


 あんなの、怖い以外の感情出てこないだろ。


「死ぬ気で避けろ!援護はする!」


「ぬおおおおおお!!!」


 その後、何とか辛勝を収めた俺とエリアスである。


 四日目。今日はマリナ様を加えて見回りをしていたが、特に以上はない。少しだけマリナ様に剣の手ほどきをしてもらった。


 五日目。触手が五本突然と現れた。エリアスの言う通り、気配もなくいきなり現れたが遅れをとることなく消滅させた。ティルに少しの部分を切り取ってもらい、何故気配がないまま近くに来ることが出来るのか調べる。


 六日目。姉さんが合流。出会ってそうそうのハグは嬉しかったが、今はそれどころでは無い。少しだけ触れ合ってからあの触手の解析を手伝ってもらうことに。すると、あの触手には今まで見たことがない魔法陣を確認。そのことから異世界の魔法であると断定。解析を急ぐ。


 七日目。触手に掛けられていた魔法が判明。どうやら気配や存在感を無くすという魔法だった。この魔法は色々と活用できそうなため、ありがたく使わせてもらうとしよう。


 八日目。魔法が解析できたため、今度は不意打ちを食らうことなく触手と対峙できた。10本の触手が現れたが、難なくと倒す。ティルが『触手の強さが違う。そろそろ出てくるぞ』と言っていたため、警戒を促した。


 そして、九日目。ようやく、魔神ビンスフェルトが姿を現した。


「何あれ、でかぁ……」


「触手もかなりのデカさでしたけど、これはちょっと予想外です……」


「気持ち悪い……」


「………あ、なんか具合悪くなってきた」


 上からルーナ、アリス、メリウス、カレンの順である。彼女達の手にはそれぞれ大罪武器が握られていて、迎撃の準備は万端。


「あれが『イカ』ね……相当気持ち悪いわね」


「酷く同感だな」


 姉さんの言葉に頷く。


 魔神ビンスフェルトの大きさはおよそ50mと言ったところか。ただし、それは本体だけの大きさであり、触手も含めるとどれだけか分からない。


 色は黒。そして、アリス達が言ったように見た目がものすごく気持ち悪い。あのラプラスの悪魔よりも嫌悪感を感じるとか………。


 ちなみに、ラミュエールとレジーナさんは今回は待機である。ラミュエールは戦闘が得意では無いため、拠点として使っていた部屋から回復魔法を打つ。


 レジーナさんは、エリアスが参加を断固拒否したためいない。俺的には少し喧嘩になるかと思っていたが――――


「俺はお前が大切なんだ。ここにいろ」


「………ぽっ」


 ――――みたいな感じで、決着がついた。まぁあいつ、顔は整ってるもんな。顔は。


「最終確認をしよう。まず、本体を叩くのが俺とマリア様、そしてエリアス」


「了解」


「あぁ」


 二人の顔を見ると、頷き返してくれた。


「触手の露払いが姉さんとティルとアリス」


「うん!」


「心得た」


「分かりました!」


「そして、カレン、メリウス、ルーナはとにかく魔法で援護をしてくれ。触手でも、本体でもどっちでもいい」


「うん!」


「了解です!」


「分かったわ。任せて」


 各々と話し合った結果。これが一番いいと判断したフォーメーション。


 大丈夫だ、負ける気はしない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

なんと、マリナ様の名前をどうやら間違えたまま記憶しており、マリア様となっていました。混乱を招いてしまい申し訳ありません。マリナ様です。

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