第8話
「やっぱり俺の時よりもレベルが高いな」
「そうなんですか?」
現在、20人目の生徒の出番が終わり、ポツリと呟いた俺の言葉にメリウスが反応する。
「俺の時は確か、最速で2分程度だったと思うが、今回はその2分を切っている生徒が多い。だからそう思う」
同時に三つの的を壊した時は俺もついつい「おー」と声を上げたしな。
「……お」
そして、満を持してと言うべきか、マーシュが遂に出てくる。彼女の活躍を知っている会場が盛り上がる。たまに「マーシュちゃん可愛い!」とか、「結婚してー!」と聞こえるのは何故だろうか。
観客に対してぺこりとお辞儀した後に、競技が始まった。
「……え!?」
「へぇ?」
「うっわぁ……」
「……化け物ですわ」
上からメリウス、俺、カレン、メアルの順である。なんと彼女、迫り来る魔法の弾からジャンプで華麗に躱した後、一度に十個の魔法陣を同時展開し、開始十秒ほどで全ての的を破壊したのだ。
その後、結局彼女の記録を塗り替える選手はおらず、マーシュが圧倒的一位で二日目の幕は閉じた。これでディルクロッドの二勝。
三日目。今日は早撃ちコンテストの日である。ウチからカレンで、知り合いからはメアルが出場するので、今日は俺とメリウスの二人で観戦である。
「いいライバル関係だな、あの二人」
「ですね」
目下では、お互いに頑張りましょう的な感じで握手を交わしている二人の姿。果たして、一体どっちが優勝するのだろうか非常に楽しみである。
「頑張れカレン。お前の実力なら、充分優勝争いには食い込める。自信をもて」
「………ふぅ」
先生からそう言われたことを思い出して、ゆっくりと目を閉じて息を吐く。これで幾分か緊張は和らいだ気がする。
一番のライバルはメアルちゃん。私も大分一目見ただけで大体の実力とか、魔力量とか分かるようになったけど、やっぱり私の精度でもメアルちゃんが圧倒的優勝候補。
(でも、負けない)
思い出して、私。あの二週間の練習を。意外と鬼畜なアリスさんとルーナ先生の練習に必死に食らいついて、頑張ったもん。
――――いける。私なら!
そう心の準備をして、特別な結界の中に入った。
早撃ちコンテストの勝者の決め方は、誰よりも早く魔法を放てばいい。一つのお題事に下位十名の人が結界により魔法が発動できなくなり脱落。残りが十人になったら一人ずつ脱落していくシステムだ。
開始の合図、なんてものはなく全員が黙って空中を見つめる。どんな技術でできているかは知らないけど、空に浮かんでいるほ……ホログラム?に魔法の名前浮かぶのだ。
「……!」
お題が表示されると同時に、私は直ぐに魔力を込めて頭の中に魔法陣を思い浮かべて展開。両手を前に出すと、そこから火の玉が的に向かって飛んだ。
まず最初のお題は、初級の
この競技は、お題ごとにどんどん難易度が上がっていくのが一番の至難のポイント。純粋に発動できないような魔法だって出るし、なんだそれ!?と言いたくなるような魔法だって登場する。
でもいける。この手応えだったら私も!
「いい調子だな」
「はい」
現在、五つのお題が表示され、五十名の生徒が脱落した。まだここまでは変化球なんてものはなく、ごくごく普通の早撃ちコンテストだろう。
そして、やはりと言うべきか目立つのはカレンとメアルの二人だろうか。他にもいい感じに拮抗――――というか、殆どがディルクロッドの生徒なのだが、まぁいい感じに拮抗できている生徒はいる。だがしかし、頭一つ飛び抜けてカレンとメアルが上だな、やっぱり。
「……へ?」
その時、隣にいるメリウスが変な声を上げる。なんだ?思い、俺も空中を見上げたら直ぐに理由が分かった。
「お、変化球が出たな」
有名じゃなくて、ちょこっと有名な魔法だなあれ。多分だが、メリウスは知らない魔法だったため先程の様な声を出したのだろう。
「せ、先生……なんですか?あの魔法」
「何って……
「ま、カレンなら問題ない。時間ある時に俺も色々と知識詰め込ませたからな……ほら」
目を向けると、既にカレンは展開を終わらせており、目にも止まらぬ速さで小さな槍が七つほど的に突き刺さった。
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作者はレオ杯一位でしたよ。オープンのAでした。やっぱりマヤちんとマックイーンしか勝たん。
アオハル杯が面白すぎる。これはまたまた沼にハマっちゃう~!
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