第1話

 俺、ティルファ・ディルソフの実家があるディルクロッド領には、世界的に見ても有名であり、今まで数々の魔法使いを排出してきたいわゆる『エリート校』的なあれである。


 才能さえあれば、身分関係なく入学でき、その特殊性から、わざわざ他国の王族の息子や娘がこぞって入学する、子供の魔法使い憧れの学び舎。


 他人よりもずば抜けて才能があると認められた子供は、特別に『飛び級』という制度が用いられ、一桁代の子供であろうが例外的に入学することも出来る。


 また、飛び級制度はそれだけでなく、普通ならば学園には最低でも3年間は在籍しないと行けないのだが、この飛び級制度を利用すれば、三年も通わないで卒業もすることが出来る。俺と姉さんがいい例だな。俺は姉さんよりも後に一年遅れて14歳の時に入学したが、卒業したのは姉さんと同時に卒業。俺が15歳で、姉さんが16の時だった。


 まぁ、学園を卒業して何年かは家で何もしないでぐーたらして、勇者について行った訳なのだが。そして、勇者に嫌気がさした俺はわざと勇者を挑発して追放。この前実家に戻り、姉さんが学園長なった魔法学園で教師になるべく今日の朝を迎えたはずなんだが…………。


「なぜに俺はメルジーナ様の屋敷の前に」


「メルジーナ様にあなたが呼ばれたからよティルファ」


「そうですね。大事な話があるからーと呼ばれましたね」


 相変わらずデデン!という効果音が似合いそうなメルジーナ・ディルクロッド邸。そういえば、今やメルジーナ様も国王……あ、いや、王女となったし城でも建てるのだろうか?


 ………いや、多分建てないなあの人なら。


 そして、相変わらず俺の傍にはルーナとアリスがいる。彼女たちにの左手の薬指には、太陽の光に反射してキラリと光る指輪がある。勿論、今この場にいない姉さんの指にもサファイアの宝石が埋め込まれた指輪がある。


 つまり……そういうことである。式は関係者だけでやったから、ちんまりとしたのだったが、三人とも喜んでくれたので良かった。


 特に、姉さんなんか指輪貰った時に、嬉しさが爆発して抱きしめてきたと思ったら突然にキスの嵐が降ってきた。あれには普通にビックリしたし、あとめっちゃ恥ずかしかった。そして、その後ベッドに押し倒されてしまい、逆に据え膳されそうになったが、ルーナとアリスが来てくれたので貞操は守られた。


 いや、もう結婚したから貞操なんて気にしなくていいのか?


「いらっしゃい、ティルファくん達。中でメルジーナさんが待ってるわ」


 と、屋敷の前で待っていたら、ディルクロッドのお抱え勇者であるマリナ様がやってきた。


 今まで一緒にいたどこぞのクソ勇者とは違い、品行方正、圧倒的美人、人望満点な全勇者の模範となるべき勇者である。しかし、裏ではめちゃくちゃメルジーナ様に対して独占力を発揮しているので、全世界の勇者方は、表面だけを参考にして欲しい。あのオーラはヤバい。


 マリナ様が屋敷の門を開けてくださったので一礼してから門を潜り、スタスタと歩いていくマリナ様を追う。


「あの、マリナ様。メルジーナ様から何か要件聞いてませんか?」


「ごめんなさいね、私も何も知らされてないの。何やらとても大事な話らしくて」


 と、俺の質問にマリナ様は少し眉を顰める。なるほど、マリナ様にと知らされていないのか。


 ……なんでだろうな。何やら物凄い嫌な予感がプンプンとしてきたのだが。


「……何か、ものすごく嫌な予感を感じたのは私だけかしら?」


「同感です。私も感じました」


 あ、やっぱり?とういうか、この二人もだいぶメルジーナ様のことを理解してきているような感じがするな。


「さ、ここでメルジーナさんが待っているわ」


 そして、連れてこられたのはいつぞやの時のメルジーナ様の私室である。この前は色々とやばかったな。


 うん、色々と。


「いい?くれぐれも、メルジーナさんのこと――――」


「ちょ!?分かってます!大丈夫ですから!!」


 怖い怖い怖い!急に瞳のハイライト消して睨みつけないでください!この前はそのオーラに充てられて俺気絶してるんですから!


「うん!分かってれば大丈夫よ!」


 と、俺が必死になってマリナ様が考えているもしもを否定すると、誰もが見惚れる笑顔を浮かべて去っていった。


 怖いよ。あと怖い。


「……何か必死に否定していたけど、大丈夫なの?」


「大丈夫だ。マリナ様の逆鱗に触れない限りな」


 さすがマリナ様。あの病みオーラを見事に俺だけに焦点を当て、二人に気づかれないようにしていた。


「さて、じゃあ入りますか………心の準備だけはしておくように」


 二人の顔を見て、こくんと頷くのを確認。匂い遮断の結界と、精神安定の魔法をかけてから、コンコンとノックをしてからメルジーナ様の部屋に入る。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

土曜日、カラオケに行って(一人で)うまぴょい伝説とユメヲカケル歌ってきました。


一番最初にユメヲカケル歌ったら90点超えて、うまぴょい伝説は踊りながらやったら息切れ凄かったです。あと、大声で『俺の愛馬が!』が言えたので大満足です。


あ、10連でナリタタイシン出ました。

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