第4話

「勘違いしないで欲しいのだけれど、最初は私だって穏便に行こうとしてたのよ?元々、向こうの王族や貴族とか九割方は嫌いだけれど、仲良くしている貴族だって当然いるもの」


 と、メルジーナ様は頬に手を当ててはぁ、と心底失望したかのように溜息を吐いた。


「独立は、私が兼ねてから考えてた事だし、どうせ向こうも私達のこと嫌いだから、周辺諸国の推薦状貰っておけば、いけるかなって思ってたのよ」


「ちなみに、推薦状はどうやって?」


「あら、この街には世界から魔法を学びに来る人が多くいるのよ?当然、他国の王子王女、また皇子だったり、皇女、もしくは他国の偉い貴族の息子さんたち……その人達に、フィアンの方からお願いをしてここが独立するメリットをたくさん書いた手紙とともに協力するようにお願いしたわ」


 なるほど、流石メルジーナ様だ。


「ちなみに、メリットは何を書いたんですか?」


「そうね、まず、私に貸一つということにしておいたわ」


「………そりゃまた」


 氷の女帝の貸一つ。世界にたった一日で名を轟かせた最強の魔法使いの協力を得られるのなら、独立に手を貸す位どうということもないのだろう。


「もちろん、しっかりと相手の性格と人望を見極めた上で出しているわ。私欲のために、私の力を使わないような人間に」


「それは安心ですね。脳内にもしやという国が上がっていましたが」


「流石に、私だってあそこに手紙を出すほど困ってはないわよ」


 と、困ったように笑うメルジーナ様。あそことは、今現在、この世界で唯一他国への戦争を頻繁に進めており、全国が共通の敵として認識している『ガリバー帝国』。


 もしあそこにメルジーナ様の貸一つ手紙を渡していたら、絶対他国の侵略に手を貸せと言われていただろう。


「まぁ一旦その話は置いておくわ。それで、私はくそ王に他国の推薦状を持った手紙を持って独立を認めてもらおうとしたのよ」


 独立するのに必要な条件は、住民の数が一定数いること、一定以上の税を収めていること、他国の推薦状があること。


 詳しく言うとまだまだ色々とあるのだが、重要なのはこの三つ。


「でもね、あのクソ王………貴様の街からはまだまだ搾取せねばならんかなぁとか………ニヤニヤした顔で言ってきて……あいつは私の街をなんだと思ってるのよ!?」


 ブチ切れた。どうやら、王はメルジーナ様の逆鱗を見事に撃ち抜いてしまったらしい。


 この人、性格はちょっとどころじゃなくてかなり性に奔放な方だけど、住民には愛されてるし、メルジーナ様自身もこの街や住民のことを愛しているからな。


「さらに、私のマリナのことも侮辱してきたのよ!?いくらマリナが他国の勇者だからってけちょんけちょんに貶してたのよ!?」


 あ、これ王族終わったな。


 マリナ様とは、このディルクロッドが一番懇意にしているという言っていい国、『ゼブリナ』から来ている勇者である。


 なんでも、命の危機を救われたとか。ぶっちゃけメルジーナ様が命の危機に陥るシーンとか、全然想像出来ないんだけど、まぁそんなことがあったらしい。


 今ではディルクロッドのお抱え勇者としてこの街を守ってくれているこの街第二の盾だ。ほんと、あのクズ勇者はマリナ様の爪の垢を煎じて飲んで欲しい所である。


「それで、殺したんですか?」


「流石に王は殺せないわよ。まぁ?ここで死ぬのと今独立認めるのどっちがいい♡って聞いたらめちゃくちゃ頷いていたけどね」


 いや、それって思いっきりーーー


「脅迫したんですか!?」


「違うわよ。お願いよお・ね・が・い。まぁ小心者の王ですもの。脅せばーーーじゃなくて、お願いしたら直ぐに頷いていたわ」


 メルジーナ様がその時に浮かべた暗黒微笑が鮮明にイメージできる。うん、きっと怖いんだろうなぁ……。


 ていうか、よく王があんなんでこの国ーーじゃなくて、もう隣国か。隣国も持ってたよな。


「そして、どっちみちアレシオンは私たちが抜けた瞬間に終わりも同然よ」


「なぜです?」


「だって、今まで国に納められてた税の半分は私たちが払ってたらしいのよ?王都に行ってきたついでに、アレンに調べてきてもらったの」


「半分!?」


 それを聞いて俺は思わず声を荒らげる。ほら、と何かの紙をメルジーナ様から渡されたので、慌ててそれに目を通す。


 ちなみに、先程出てきたアレンさんは、メルジーナ様の一人息子のことである。メルジーナ様の才能を充分に受け継いでるアレンさんは、神童ではないものの、魔法使いという枠で見るならば、やはり世界最強クラス。


 しかも、ディルクロッドの特色である殲滅魔法だけではなく、他の魔法はメルジーナ様よりも上手く使えるので、あの人にかかれば潜入、隠密なんてちょちょいのちょいだろう。


「これで、王は自身の肥やしを蓄えるため、税をどうせ上げる。当然、そんなことをすれば……」


「不満が爆発……領主の貴族の離反、又は反逆ですか……」


「えぇ、どちらにせよ、もうアレシオンを気にする必要なんてないわ」


 と、言うと、話は終わりよと言わんばかりに先程まで相手にしていた女性の嬌声がまた響き始める。


 直ぐに防音結界を貼って、俺は一礼をすると、目を閉じたまま部屋を後にした。





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大分安定してうまぴょいできるようになってきた作者のあとがきコーナーはっじまっるよ~。


皆さん、イベントの方はどんな感じでしょうか。私はマチカネタンホイザが可愛すぎるので、イベント任務で聞くことができる「えい、えい、むんっ!」を聞くためだけに頑張ってます。可愛いよマチタン。


いずれ、マチタンでうまぴょいしてみたいものですね。ずきゅんどきゅん


それと、前回コメにてIDを教えてくれと仰っていた方がいらしたので、貼っておきます。

356 983 705です。


それと、もうガチャ報告しないでいいです。フリじゃないから。カリギュラ効果狙ってるわけじゃないから!

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