第5話

「……あら、久しぶりじゃない?ティルファくん」


「そうですね、お久しぶりです。マリナ様」


 ぺこり、とメルジーナ様邸を歩いていたら、久しぶりに見るお方が目に写ったので、ぺこりと挨拶を返す。


「何ヶ月ぶりになるのかな?」


「丁度一年くらいじゃないですか?俺があのクズにスカウトーーーじゃなくて、姉の代わりに同行したのが一年前なので」


 マリナ・スカーレット。隣国、『ゼブリナ』の勇者でもあり、スカーレット家のご令嬢。その美貌と、物腰の柔らかさから他国であるディルクロッドの民衆からも人気は高い。


「ところで、君がここに来たって言うことは、メルジーナさんの所にいた訳よね?」


「はい、先程私室の方でお気に入りの人と戯れてましたよ」


 と、俺が言うと、ピクんとメルジーナ様と同じく紫色の瞳が揺れ、段々とハイライトが消えていった。


「そう……私とじゃなく、別の人と…」


 あ、やべ。


 俺は無意識のうちに2歩下がった。なんとマリナ様、メルジーナ様にガチに恋しており、少々ーーーというよりも、メルジーナ様が他のお気に入りが喋っていると今感じになってしまい、病みのオーラがものすごくでている。


 なんだっけ、こういうの、姉さんが『ヤンデレ』とかなんとか言っていたような気がする……っ!?


 瞳が死んだマリナ様と目が会い、本能的な恐怖を感じて体が震える。そんな俺を見て、マリナ様はニコリと笑った。


「ありがとう、ティルファくん、私ちょっとメルジーナさんとオハナシしてくるから……じゃあね」


「う、ウッス……」


 咄嗟に敬礼で返し、スタスタスタと俺の目の前を通るブツブツと呟きながらゆらゆらと歩いていく。


 こ、こえええええ!!!!


 なんだ!?あのマリナ様!?この前見た時よりも迫力増してません!?あれ!?


 と、ガタガタと余韻の恐怖のせいで動けないでいると、俺の足元に魔法陣が浮かび上がり、次の瞬間には俺が今すぐに見たいと思っていた姉さん、ルーナ、アリスの顔が視界に移る。


 どうやら、姉さんが指定していた時間が来て、姉さんが強制的に俺を転移させたようだった。


「ティルファ!?だいじょうーーーーってどうしてそんなに震えてるの!?」


 と、姉さんが慌てて俺を心配してぺたぺたと俺の頬を触ってくる。あぁ、人の体ってこんなにもあったかーーーーガク。


「え!?ティルファ!?ティルファ!?ちょっと!!メルジーナ様は私の夫に何してんのー!?」


「フィアン姉!!とりあえずまずはティルファをベッドに寝かせましょう!」


「そうですよ!姉様!あと、私達の夫です!!!」










「それで、次はどこの街へ行くつもりなの?」


 惜しげも無く、その豊満な胸を押し付け、勇者ーーーエリアスの体にだらしなく寄りかかるレミーナ。昨夜、勇者達が見つけた大量の死体の原因を探るために次の目的地へと移動をしようと準備を進めていた。


「少し黙れ。俺の気をそらさせるんじゃねぇぞ愛玩具が」


「んぅ!?はぁ、はぁ……」


 と、勇者からこのような酷い言い方をされようとも、被虐性愛家マゾヒストの彼女にとってはご褒美だ。興奮し、さらに熱のましたレミーナの体にチッと舌打ちをしたが、直ぐに目を閉じて一切の雑念を頭から弾き飛ばす。


(あの邪気……近くまで寄り、あれを盛大にこの身受けた俺なら、その原因を突き止めることも可能だ)


 勇者限定特殊技能、『原罪探知』。勇者の役目は街の平和を守り、世界の和を守ること。正義を実行するために、勇者は悪の存在を感知することが出来る。


 珍しく真面目なエリアスの横顔に、不意打ち気味に認めてしまうレミーナ。


(………ふーん、こんな顔もできるのね、意外……でも、好み。いい男よね、ほんと)


 ペロリ、とレミーナは舌で唇を舐める。そして、探知を終えたエリアスが目を見開かせると、バッグから地図を取りだし、とある場所にマークをつけた。


「……ちっ、寄りにもよってここかよ……めんどくせぇ」


 頭をガリガリとかいたエリアスは、心底嫌そうな顔をして溜息を吐いた。


「で、どこなのよ結局ーーーあん」


「黙れ、今、俺が一番行きたくねぇところに出たところなんだよ」


 と、レミーナの胸を揉みしだきながらさらにまたため息を吐く。


「………ったく、こんな時に」


 エリアスの見つめる先には、『ディルクロッド』と表記された辺境の街だった。



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今日、4時にお昼寝をしてて、夢を見たんですけど、その夢がまたすごくて。


Twitter見た人なら知ってると思うんですけど、夢でウマ娘が出てきたんですよ。マチカネフクキタルとスーパークリークの二人とバレーをする夢を見ました。


マチカネフクキタルが「勝つためには私の指示に従ってください!」って言ったり、スーパークリークがサーブする時にいきなりドリブル初めて相手コートにボールぶん投げたりと、色々カオスでしたが、楽しかったです。もう一回見たい。


マンハッタンカフェが、夜に中庭で一人本読んでたのは少し怖かった。


それと、先程新作を出したので、もし良ければ見てください!現代ファンタジーとなっています!


『侵食魔界都市東恐』


作者の好きな設定盛り沢山なので、読んでくださると嬉しいです。

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