第6話

 さて、宿屋の前まで戻ってきたのはいいが………ここからどうするべきか。


 右手に持っている袋に目を向ける。この中には、この街一番の宝石商ということで名前が上がっていた店に行き、そこで購入した二つの指輪。


 なんでも、指に嵌めるだけで、自動的に大きさが変わってくれる魔法が使われているらしく、事前に指の大きさを計らないでいいということだったので、即買うことが出来た。


 ルーナには、ガーネットの宝石が着いている指輪で、アリスには、エメラルドの宝石がが着いている指輪を買い、そこに俺がちょちょっとその指輪に魔法で細工を施した特製で、世界に一つしかない指輪を、プロポーズと共に送る予定である。


 とりあえず、カウンターに二人の気配は……よし、ないな。安心して入る事が出来る。チリンチリンと鐘が鳴り、そそくさとカウンターへ向かう。よし、同じ店員だな。


「あ、さっきのお客様……」


「俺は一人部屋でいいからな。2人と同じ部屋は俺の個人的理由でダメだ」


「でも、結局遅いか早いかの違いですので、観念した方がいいんじゃないですか?あとこれ鍵です」


「いや、ダメだ。親しき仲にも礼儀ありーーーってあれ、鍵くれるの?」


「はい。お二人も、あそこまで拒否するなら仕方ないわねと言って、部屋へ戻っていきましたから」


 なんかここまできたら逆に俺の方が悪いことをしているような気がしてきたのだが。


「ところでお客様。その袋……もしかして『ティターニア』で買ってきたんですか?」


「あ、うん。そうだな。二人に送る指輪だし、金に糸目はつけたくなかったし、出来ることなら最高の物を送りたいなーーーーあ」


 しまった。めちゃくちゃ普通に聞かれたからめちゃくちゃ普通に答えてしまった。ハッとして店員を見ると、ニヤニヤと手で口をおさえていた。


「いやぁ、あそこまで大事に思われてる男の人がいるなんて、あのお二人、とても羨ましいですね」


「……………俺は行く。部屋代は明日聞く」


「はーい。ごゆっくりー」


 顔が赤くなってきたので、退散することに。貰った鍵に指定された番号を見ると、どうやらこの宿の最上階らしい。


 ……空いてるのがここしか無かったのか?


「……まぁいいか」


 そう思いながら、部屋の鍵を開け、中に入った瞬間ーーーーーー


「確保よ!」


「はい!」


「うえっ!?」


 なんかよく分からんまま俺の体が押さえつけられ、なんかよく分からんまま、俺はベッドに押し倒されてた。


 …………え、マジで何があったの?


 呆然としたまま見ると、目の前にはルーナとアリスの顔があった。まず、なんで二人が鍵のかかった部屋にいたの?


「………色々と聞きたいことがあるのだが……」


 うん、とりあえず俺諦めた。もう諦めたもんねー。人生、諦めた方がいいということもあるよねうん。


 そして、二人から事情を聞いた。


 まず、これはあの店員もグルで、俺に諦めたとの嘘の情報を流して、この部屋に俺を誘導させたというものすごくシンプルな作戦。


 鍵は二人が入った後にガチャりと店員が外から閉めたから、鍵があの店員の手にあることも納得した。


「………二人は、どうしてそこまで」


「決まってるでしょ?あなたのことが好きだからよティルファ。好きだから、あなたと時間をたくさん共有したい」


「好きだから、ティルファさんとたくさん触れ合いたい……こう思うのは、おかしい事ですか?」


 ………全くもっておかしくないな。


 はぁ、ここまで言われたら貴族云々の前に、人としてアレだよな…………。


「アリス、ルーナ」


 俺は起き上がり、2人のことを抱きしめる。


「……ごめんな、こんな俺で……」


「いいのよ、ティルファのことはそこそこ分かってから」


「大丈夫です。ティルファさんのことは分かっていますから」


 二人の言葉に、胸がどんどんポカポカと暖かくなり、それと同時に二人の事を愛おしいという気持ちも湧いてくる。


 頭の中で描いていた予定とはそこそこ違うが……まぁいいだろう。


「アリス、ルーナ」


 俺は、体を一旦離すと、いつの間にか手から離れていた指輪の入った袋を魔法でこちらに呼び寄せ、袋を開けてから、二つの箱を二人に差し出した。


「こんな俺だけど………これからも、ずっと隣で……傍で……妻として、俺の事を支えてくれるか?」






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

うまぴょい!うまぴょい!(完全に沼ってしまった男の末路) マルゼンスキーでうまぴょい!見た時は、マジで泣きそうになった。Cygamesありがとう。


そして、昨日のアサルトリリィのEdel Lilieのライブ……尊かったなぁ……冒頭だけで尊いとか反則だよマジで。


うまぴょい。


P.S

怖い、君達怖い。

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