第5話

注!作者の下手くそな濡場シーン有り。





「………お前、今日の腑抜けた様子はどうした」


「……………は?」


 今日の調査もいつも通りの時間で終わり、街に帰っている時、珍しく勇者が隣に来て話しかけてきた。


 お?お?なんやなんや?キレるんか?とか思ってたら、なんか心配みたいなことされてびっくりした。


 俺のその反応が気に食わなかったのか、片方の眉だけピクリと反応させた。


「だから、いつも腑抜けたお前が今日はいつもより腑抜けた様子なのはどうしてだと聞いている。役立たずのお前が、更に役立たずになって俺の足を引っ張るのが許せないんだよ」


「………………………」


 ピシッと髪に隠れて見えないが、しっかりと俺の額に青筋が立った。前言撤回。チャットこいつ優しいのか?とか思い始めた俺のほんのちょっと関心返せ。


 というか、流石のバカ勇者でも気づいたのか……あまりにも露骨すぎたか……まぁ初日だから仕方ないということで明日に向けて修正しておくか。


「……別に、朝から気分悪いの見せられて調子出なかっただけだ。お前の醜い女漁りのせいでな」


「はっ、嫉妬か?」


「バカいえ。誰がお前なんぞに嫉妬するか。自意識過剰にも程があるぞ?勇者(笑)」


「……お前、俺の事をバカにしているのか?俺は勇者だぞ」


 知るかボケと声を大にして言いたい。物凄く言いたい。


「いえいえ、そんな勇者(笑)サマを馬鹿にするなんてそんな恐れ多いことしませんよ、なんですか?バカにされてるとでも思ったんですか?」


 よし、いい感じに煽れてるな。奴の怒りのボルテージが上がるのが分かる分かる。


「………チッ、役立たずが……」


 と、盛大な舌打ちを鳴らして俺から足早に離れて行った。多分森の中だったら遠慮なくぶん殴られていただろうが、まぁアリスとルーナの目や、もう街に近いからな。


「ちょっとティルファ。あんなに喧嘩売って大丈夫なの?」


「大丈夫。大丈夫。明日はもっと効率よく煽るって」


 早く追放されるためにも。


「大丈夫ってそんなわけないじゃないですか。それでティルファさんがまた殴られたらどうするんですか?」


「大丈夫だって。殴られても大して痛くないし」


 殴られる瞬間に、魔法障壁発動させてるから、俺には全くのノーダメージ。というか、多分殴った方の勇者の拳の方が痛いと思う。まぁ?痩せ我慢してそんなのは全然顔に出さない勇者だけど。


 勇者の後ろ姿を見るだけで、偉く怒ってるのが見て分かる。多分だが、今日連れ込まれる女の子は俺へのストレスのはけ口として激しくされるんだろうな。可哀想とは全く思わんが、少し同情する。


 合掌!


「………どうして急に手を合わせたの?」


「ご冥福をお祈りして」


「誰のですか?」


「誰かの」








 クソっ!クソっ!クソっ!クソっ!クソっ!


「あっ、ゆうしゃ、さま、はげしっ……んんっ!」


 パンパン!といつもよりも力強い音が響き、甘い嬌声も響く。周りの迷惑なんてどうでもいい。俺がルールだからな。


 しかし、今日の俺はいつもよりイラついている。その理由は、いつも役立たずなティルファとかいう奴がさらに役立たずで、俺が少し怪我をしたからだ。


 あんなやつでも、そこら辺にいる魔法使いよりは優秀だから、俺が使ってやっているというのに、俺の綺麗な顔に傷をつけやがって………。


 絶対に許さない。だから、こうしてアイツでは出来ないことを平然とやって見せつけるように、今日収穫した目の前の女の声をさらに響かせる。


「ーーーあっ、お、おくぅ!あた……ひあっ!!」


 顔は凄い好みで、こいつはかなりのお気に入りだ。出来れば、あの役立たずの代わりに連れていきたい位ーーーー!!


「………そうか」


「あっ!あ、んんんっ~~!」


 今日初対面だが、遠慮なく流し込んだ。極上な快感が体全体を回り、先程思い浮かんだ案が最高なものだという確信を得た。


 そうだ、あいつを追放してしまえばいいんだ。


 出来れば今すぐと行ったところだが……まぁサイクロプス倒すまでは使い潰してやるか。


「くくく………ははははは!!!」


「はぁ、ゆ、うしゃさま……もっとぉ」


 当然、明日このクレームをたくさんの宿に泊まっていた客がティルファに言ったので、青筋がさらに立ったとか立たなかったとか。


 まぁ言えることは、その日からティルファの嫌がらせが露骨に増えたくらいである。


「チッ、始まったか………」


 隣の部屋から声が聞こえてきたので指をパチンと鳴らして防音結界を張る。はぁ、まさか開発した理由が隣の部屋があんあんうるさいからって言う理由がなんか救われねぇなお前……。


 …………なんかごめんな?こういう使い方して。いつかもっと有用な使い方してやるから……。


 ………ルーナとアリスは大丈夫なのだろうか。


 と思った瞬間、物凄い勢いでバタン!とドアが開いて顔を真っ赤にさせた二つの影が俺の部屋になだれ込んできた。


 ………うん、とりあえずごめん。二人とも。


「水飲む?」


「是非お願いするわ」


「そして、ティルファさんにはちょっとお説教です!」


 そして、アリスから少し煽りすぎだと説教された。だから、次からは抑える……と思う。

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