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「ま、政宗くん今日は学校は?」


「今日は朝から試験で疲れたよ。一応俺も夏休み中なんだけどね。」


政宗は背もたれに体を預け足を組んだ。

その姿が妙に大人びていて小春の目にはかっこよく映る。


政宗が来てくれた、その事実が嬉しくてたまらないが、何か話したいのに上手く会話ができない。


「手術は……。」


「あ、うん、明後日なの。」


「……そっか。」


「……頑張れとか言ってよ。」


小春の見舞いに来た人は皆口々に“頑張って”と励ましてくれた。だからてっきり政宗も言ってくれるのかと小春は思い、茶化すように言う。


だが政宗は困ったように笑った。


「本当は……。」


本当は俺が小春の心臓を治したかった。


喉元まで出かかったのを、直前で飲み込む。

小春は首を傾げた。

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