第3話

毎週土曜日、私と彼が休みの日、デートを重ねていた。でも彼は奥さんの多額の借金を返していて、豪華な食事やプレゼントもなかったけど、ドライブ行ったり、映画を観たり、ラブホテルでゆっくり過ごしたり、私にとって非日常の世界を楽しんでいた。


私の誕生日に当時流行っていたブランドの紫のパンプスをちょっと無理した彼が買ってくれた事を思い出した。

でも、この話を彼にしたら、全然覚えてなかった。


私は秘密の逢瀬を楽しんでいた私だったけど、彼の娘が結婚して孫が生まれて、孫の事を嬉しそうに話するたびに少しずつ、離れていった。

毎週土曜日のデートを仕事を理由に断る事も。最初は何も疑わずに『最近、仕事忙しいんやな。あまり無理しないように』と優しい言葉をかけてくれた。


でも段々と断る方が増えてくると、さすがに彼も私の心の変化を察知したようだ。

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