SS第二回目
「はい、蒼太くん。近くオープンする予定の洋菓子店の試作品をいくつか貰ったの。紅愛ちゃんと一緒に食べて後で感想を聞かせてね」
土曜日の昼頃、紅愛とくつろいでいると突然紅葉さんが紙袋を持って訪ねてきた。紙袋を受け取り、中を覗くとお洒落な紙で包装された箱が入っていた。
「ありがとうございます。というか俺達が貰ってもよかったんですか?」
「えぇ。私と明さんだけじゃ食べきれないから。是非食べてちょうだい」
「そういうことならありがたく。あっ、お茶でも飲んでいきますか?折角来たんですし」
「そうしたいけどこの後用事があって……ごめんなさいねぇ」
そう言って申し訳なさそうに断る紅葉さん。
「いえ、大丈夫ですよ」
「また今度お邪魔するわね。それじゃあ」
「はい。お元気で」
「紅愛ちゃんもね」
「はい。お母様もお元気で」
紅葉さんを乗せた車が走り去っていく。紅葉さんを見送った俺達は家の中へ戻り、早速リビングで紙袋から箱を取り出した。包装紙を剥がし、箱を開けると中にはチョコが入っていた。
「美味しそうだね」
「はい。コーヒーを用意するので食べてみましょう」
紅愛がコーヒーを用意しにキッチンへ向かう。その間俺は特にすることがなかったので大人しくソファに座り、紅愛を待った。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
カップをテーブルに置き、紅愛が横に座る。
「どれから食べようかな。紅愛は何が食べたい?」
「そうですね。んー……このミルクチョコが食べたいです」
「これだね。はい、あーん」
チョコをつまんで紅愛に差し出す。最近ようやく慣れてきてこうして自分からやり出すことも多くなってきた。最初は紅愛も驚いていたが今では嬉しそうに微笑んでくれる。
「ふふっ、あーん。ん……美味しいですね」
幸せそうに目を細める紅愛。その様子から本当に美味しいのだということが分かる。
「蒼太くんはどれが食べたいですか?」
「俺はこのチョコかな」
「分かりました。んっ……ろうほ(どうぞ)♡」
「……」
俺が指差したチョコを手に取り、口に咥えてこちらを向く紅愛。
「……んっ!」
予想外の返しに硬直していると紅愛が催促してきた。
「え、あ、あぁごめんね」
我に戻った俺は紅愛の方へと向き直り、彼女の咥えたチョコを口に含む。
……美味しい。口当たりの良さからまず違う。滑らかさ、味の質、どれをとっても今まで食べたチョコの中で一番だ。
「ここのチョコ美味しいですね」
「うん、オープンしたら絶対買いに行こう」
「えぇ」
「……ふぅ」
紅愛の淹れてくれたコーヒーを一口。こちらもとても美味しい。
「次は何食べたい?」
「えっと……ではこちらを」
紅愛が指したのはブランデー入りのチョコだった。
「アルコール入ってるけど大丈夫?」
「入ってるといっても少量ですし大丈夫でしょう。それに何かあっても蒼太くんがいますしね」
「駄目だったら出すんだよ?はい、あーん」
「あーん………んっ、ごくっ」
ブランデー入りチョコを口元に運ぶ。紅愛は数回咀嚼した後それを飲み込んだ。
「どう?」
「大丈夫そうです。美味しかったです」
「なら良かった」
「次は蒼太くんの番ですよ。どれが食べたいですか?」
「俺は……」
俺達の食べさせ合いは箱一つ分のチョコを食べ切るまで続いた。
チョコを食べ終わってしばらくしてだった。
「んぅ……熱いですね」
「ちょっ、紅愛!?」
紅愛がいきなり服を脱ぎ始めた。頬はほんのりと赤く、目はとろんとしており酔っているように見える。いや、完全に酔っていた。
「はぁ、はぁ…熱い……これ、邪魔です」
「待って!それは脱いじゃ駄目だから!」
「きゃっ……」
下着まで脱ごうとする紅愛を慌てて止める。しかし勢い余ってソファに押し倒してしまった。
「あっ……蒼太くん♡」
紅愛と目が合う。その瞬間、俺は大変なことをしてしまったことに気付いた。
「く、紅愛、一旦落ち着んんっ!?」
「ちゅっ♡んむっ♡はぁ♡あっ♡らめっ♡…んっ♡ちゅぅぅ♡んぅ♡」
説得する暇もなく唇を奪われる。離れようとすると紅愛は逃がさないとばかりに俺の首に腕を回し、舌を絡ませてきた。
酒臭い。そこにチョコの匂いも混ざってきて中々にカオスな匂いがする。いくら紅愛とのキスであっても酒臭いのは少しキツイ。でも当の本人は気にした様子もなく夢中でキスをしているし……
「はぁっ♡ふぅ♡ふぅ♡ふへへ♡蒼太くん好きぃ♡」
可愛い。前言撤回、酒臭くても全然許せるわ。
「蒼太くぅん……♡来てぇ…♡」
あっ、もう無理だ。さらば俺の理性。
「んっ♡蒼太、くんっ♡んむぅ♡」
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ピコン
「あら、蒼太くんから……『最高でした』んふふ、そんなに喜んでもらえなるだなんて持っていった甲斐があったわねぇ。今度オープンしたら買って持っていこうかしら」
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ゼノブレとポケモンやってたら時があっという間に過ぎてしまいました。反省しなければ。
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