第10話まだ知られない彼女の本性〜後編〜
澪と私は、潤平君と一旦別れて澪の部屋で待機していた。
数時間後、潤平君から連絡が澪に入る。
「行くか」
「…うん…」
和佳奈の本性が分かる瞬間なのに、気が重い。
本当に良いの?
仲良い友達を親友を騙すなんて…
「優羽、後ろめたさあるかもしれないけど、優羽は傷ついて要約、俺と歩もうとしているんだ。俺も潤も、こういうやり方は好きでもないし、したいとは思わない」
「………………」
「俺達はありのままの和佳奈ちゃんと向き合いたいから…本音でぶつかって欲しいんだ。俺達に出来る事があるなら彼女を救ってあげたいから」
「…澪…」
「彼女の見たくない部分とか沢山出てくるかもしれない。俺も知るのは怖いけど…受け入れてあげなきゃ彼女はきっと…幸せな人生は送れない気がする」
私達は出かけ、目的地に向かった。
「急にどうしたの?公園に行こうなんて。真っ直ぐ帰った方が良くない?それとも…他の目的?」
「他の目的?俺、そんなつもりはないけど?」
スッと腕を絡め、わざと胸に当たるように和佳奈は仕向ける。
「ねぇ…潤平君…」
「何?」
絡めた腕を離し、両頬に触れキスをしようとする。
スッと手で止める仕草を見せる潤平君。
「…和佳奈ちゃんも好きだね?」
「えっ?」
「でも…俺…好きな女以外に手出さないから。どんなに君が美人で色気で攻めても…俺…落ちないよ。関係持ちたいなら俺を好きにさせてよ。色気とかそんなんじゃなくて、一人の人間として俺を振り向かせてくんない?」
「一人の人間?」
「そう。仁市 和佳奈という一人の人間として本当の和佳奈ちゃんで」
「えっ?どういう…」
「さあ?」
そこへ着信が入る。
「おっと電話……」
着信が鳴り響く。
「…出ないの?」
「見慣れない番号なんだよなぁ〜誰だろう…?」
着信が止まる。
しかし、相手は澪だ。
公園に着いて潤平君と和佳奈の姿を確認出来たら連絡するようにと……
「そういえば…この前、優羽ちゃんと会ったんだけど澪と付き合っているって知ってる?」
「知らないわよ。ていうか私の仲を取り持って欲しいって頼んでたんだけど信じらんない…連絡すら寄越さないで」
「…寄越さないじゃなくて連絡出来ない理由あるんでしょう?」
「えっ?」
「第一…和佳奈ちゃんは職場辞めてるし、澪を傷付けてる君に報告する理由あるかな?俺だったら会わせる顔もなければ報告したいとは思わないけど?」
「……………」
「つーかさ…和佳奈ちゃんにとって優羽ちゃんの存在って?彼女の事、どう思ってるの?」
「えっ?別に…あの子はただの友達よ」
「ただの友達…澪と付き合っている報告もないのに?」
「何?何を言いたいの?」
「別に」
「もう何なの?何か話しがあるならハッキリ…」
「…だったら全て曝け出せよ!包み隠さず本音でな!」
「…潤平…君…」
「俺達にありのままの和佳奈ちゃんを見せろよ!」
「………………」
煙草に火を点ける潤平君。
「普段の俺、澪しか知らないからな。親友だから曝け出せるのもあるし、好きな女や彼女にも見せれない姿だってあるけど…今回ばかりは隠そうとは思わない…あんたに本当の姿を見せてもらわなきゃあんたとはこのまま付き合えないからな」
「…本当の姿とか本音とか私はありのままの自分見せてるし!」
「男の前だけだろう?優羽ちゃんには見せれない、見せられない和佳奈ちゃんの姿あるんだろう?」
「……それは……」
「…多田(おおた) レナ…知らないわけないよな?」
「レナ…?彼女は…私の前の職場の友達よ。今は連絡取ってないから…」
「取ってないからと言うより取れないんだろう?」
「そんな訳…ていうか第一…彼女が何?もう過去(まえ)の職場だし知らないわよ!」
「知らないで済ませるんだな…彼女は澪の元彼女(カノ)だよ…」
「えっ…!?」と、和佳奈。
「嘘…」と、私。
「彼女も優羽ちゃんと同じようにされて…彼女が自殺未遂したとは知らないだろうな」
「…澪…この話…」
「…本当だよ…今は担当していた先生と幸せな家庭築いてる…だけど精神的情緒不安定だから…俺は彼女助ける事出来なくて…会いたくないって…言われてきたから…その後…俺の容姿目的と体だけの関係のみの異性が言い寄って来てたから…」
「……………」
「嘘…レナが…?」
「澪も澪の元彼女のレナちゃんも…そして君はまた澪の彼女を傷付けて…優羽ちゃんは何も知らないまま嫌な思いして辛い思いしてきて…更に男嫌いになってしまった事、和佳奈ちゃん知らなかったんだろうね」
「……………」
「ムカついてたのよ!飲んで酔っ払って寝て…利用させて貰ったのよ!あの子は男にチヤホヤされて…私は…美人だからって付き合う人や男の人はみんなその日に関係持とうとして…私はそれだけの女なんだって…私だって何度も嫌な思いしてきたのっ!」
「……………」
「男好きとか勝手な思い込みも良い迷惑だった」
「それで君は男嫌いになったりしたの?」
「してないわよ。私は、本当の好きな男(ひと)と関係持ったし…だけど…裏切られた…相手は妻子持ちだったなんて知らなくて…」
「…じゃあ…優羽ちゃんは好きでもない人に奪われそうになって結果傷付けられて…更に男嫌いになって…そんな君は彼女を利用して沢山の男(ひと)と関係持ってた…」
「そうよ!私は男なんてって思うようになって、優羽も男も利用させてもらってるのよ!」
「…最低だな……そこまで性格悪いとは思わなかったよ…」
「…そうだったんだ…和佳奈…私の事…利用してたんだ…」
私と澪が姿を現す。
「えっ…!?優…羽…?」
「和佳奈ちゃん…レナの事…そうだったんだな……まさかレナも和佳奈ちゃんが絡んでたなんて知らなかったよ…マジ幻滅かも…」
「ちょっと…どういう…事…?…私の事…嵌めたの?」
「そうだよ」と、潤平君。
「信じらんない…私を騙して面白いわけ!?」
「…面白いとかそんな事は思わないけど?」
「嘘よ!最低…3人ともやってる事分かってんの?」
「そういう自分こそどうなの?優羽ちゃんも澪の彼女も…君が傷付けたんだよ。君が妻子持ちの相手と関係持って傷付いたように…俺達…騙してた…いや…騙されてた…が正しいのかな?」
「………………」
「仲間とか友達とか…今は人間は騙し合いの世の中だけど…本当に信頼して支え合う相手はいても良いんじゃないか?」
潤平君は言った。
「…和佳奈…私…和佳奈の事…何も分かってなかった…それなのに…まさか…そういう事されてたなんて…」
「……………」
「和佳奈ちゃん…もし…このまま君が変わる気ないなら、俺達にもう近付かないでくれないかな?」
潤平君はキツイ一言を放つ。
「えっ…?」
「でも…君がもし…少しでも変わる気あるなら考えてあげても良いけど…」
「…私は…」
「だけど…先々、君の未来はどうなるかな?更に酷い仕打ちあるかもしれないだろうけど」
「そんなの…私の人生だし、どうなろうがあなた達には関係ないでしょう?」
「そう。じゃあそれが君の本音という事で、俺達の関係は今日限りって事で良いんだな」
潤平君は言った。
「…そんなの良いに決まってるわよ!さようなら!」
和佳奈は去り始める。
「…和佳奈…」
足を止める和佳奈。
「………………」
「…和佳奈…?」
和佳奈は振り返る。
和佳奈は涙を拭いながら
「…私…変われるかな?…私…本当は淋しくて仕方がなくて…駄目だって分かってたけど…優羽に…酷い事したけど…本当は…優羽が…羨ましかった…」
「………………」
「優羽も澪君も…澪君の彼女だった…レナも…傷付けてしまった…」
潤平君は和佳奈に歩み寄るとグイッと抱き寄せた。
「だったら…ありのままの和佳奈ちゃん見せてよ」
「…潤平…君…」
抱き寄せた体を離す。
「俺達には隠さないで騙したりしないで…本音でぶつかってきなよ」
和佳奈の両頬を優しく包み込むように触れながら和佳奈の涙を拭う。
「今、ここで君が変わらなきゃ本当の仲間も友達も信じられる人が和佳奈ちゃんから離れていく。そうなる前に変わる努力しなよ」
和佳奈は頷く。
そんな和佳奈のオデコにキスをする潤平君。
「……………」
「…なるほどな…」と、澪。
「えっ?」
「…潤の奴…和佳奈ちゃんの事を本気で変えさせてあげるつもりだな…男なんてって言っていたその考え方を変えて、潤も和佳奈ちゃんと一人の女性として本気で向き合おうって…選ぶ権利は和佳奈ちゃんしかないけど…彼女が変われるなら協力していくんだって決心してる」
「…そう…なんだ…」
「アイツ…普段はムードメーカーみたいにしてチャラついてっけど…本命の前だとギャップ違うからな〜」
「えっ!?」
「俺が女だったら惚れる」
「えっ!?そんなに?」
「ああ」
「和佳奈ちゃん…男なんてって思う程、好きな人に傷つけられたなら、その考え方を辞めて俺達を信じて貰えないかな?俺達が君を信じるように……」
「潤平君…」
「信頼して貰わなきゃ俺達も疑って掛かりそうだから。お互い本気で本音で話すようにしなきゃ先には進めないから。約束守れる?」
「…約束守る…」
「分かった…じゃあ約束な」
私達は和佳奈を見守るように4人の時間を増やすようにした。
ゆっくり、ゆっくりと変わっていく和佳奈の成長を私達は優しく見守った。
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